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野球が上手なだけでは合格できない12球団ジュニアトーナメント

2005年から始まった12球団ジュニアトーナメントも、昨年2022年の大会で18回目の開催となりました。小学生たちをマンツーマンレッスンしていても、近年この大会を目標にしている小学生がすごく増えてきているなという印象があります。

当野球塾が開校したのは2010年1月1日なのですが、2013年くらいからこの大会の出場を目指しレッスンを受けにくる小学生の人数が増え始めました。ちなみに当野球塾から最初に出た合格者は2013年のスワローズジュニアとマリーンズジュニアに合格した2名でした。それ以来当野球塾からは、20人以上の小学生が本戦に出場しています。

この記事を書いている2023年3月末の時点でも、リアルタイムで6名の小学生がセレクションの合格を目指して僕のマンツーマンレッスンを受けてくれています。しかし全国で、この大会でプロ野球選手と同じユニフォームを着ることができるのは僅か192名のみ!

1球団16名しか選ばれないわけですが、しかし各球団の二次選考には多い球団では400名以上が参加すると言われており、出場を目指す小学生にとっては本当に狭き門となります。

12球団ジュニアトーナメント対策実施中!

もちろん当野球塾でレッスンを受けても100%セレクションに合格できることはないわけですが、しかし出場を目指す生徒さんたちには全員に合格してもらいたいというのがレッスン担当コーチの僕の思いです。そして合格してもらえるように、毎日できる限りのレッスンを行っています。

上述した通り、僕の生徒さんからは20人以上がセレクションに合格しています。僕は仕事柄、12球団ジュニアの選考を担当するコーチたちとも面識があり、そのコーチたちからも可能な限り情報を集め、生徒さんたちにできるだけ合格しやすくなるテクニックを伝えています。そしてこれまでにセレクションを受けた生徒さんたちからいただいた情報も、合格対策レッスンで活用させてもらっています。

そしてここで一つお伝えしておきたいことがあります。12球団ジュニアは、野球が上手なだけでは合格できない、ということです。もちろん野球が上手じゃないと合格はできないわけですが、しかしそれだけでは合格できないということを、出場を目指すお子さんを持ちの親御さんたちには特に知っておいて欲しいなと思います。

12球団ジュニアトーナメント

高価なバットに頼ったバッティングが通用しなくなった12球団ジュニアトーナメント

さて、2023年以降の大会で合格を目指す方にまず注意してもらいたい点があります。2022年夏までに行われたセレクションでは、実技テストでもビヨンドなどの複合バット、いわゆる「よく飛ぶバット」を使うことができていました。しかし2022年12月に行われた本大会からは複合バットの使用は禁止となりました。

「よく飛ぶバット」の利用禁止の流れは、今日本では少年野球〜高校野球の間で勢いを増しています。12球団ジュニアトーナメントでは2022年の本大会から禁止され、高校野球でも今後は「よく飛ぶ金属バット」の使用は禁止される流れとなります。ちなみに高野連に属する野球部であれば、すべての野球部に今後2本ずつ、新規格のバットが無償提供される予定です。

つまり何が言いたいのか?それは、12球団ジュニアトーナメントの出場を目指すのであれば、今すぐビヨンドなどの複合バットを使うのはやめてください、ということです。ビヨンド慣れしたスウィングでは、普通の金属バットや木製バットでヒットを打つことはできないからです。

よく飛ぶバットの使用禁止が少年野球〜高校野球の現在の流れ

例えば超高校級スラッガーがプロ入り後に鳴かず飛ばずというケースがよくありますよね?これは高校野球で使っていた「よく飛ぶ金属バット」をプロ仕様の木製バットに持ち替えた際、狭くなったスウィートスポットに対応できなくて何年ももがき苦しんでしまうからです。ちなみに金属バットのスウィートスポットは約2cmで、木製バットのスウィートスポットは2mm程度です。さらに付け加えると、ビヨンドのスウィートスポットは20cm以上です。

12球団ジュニアトーナメントでも2023年からは複合バットを使うことはできません。つまりこれは高価な道具に頼って野球をするのではなく、技術力を上げることに回帰した流れだと言えます。僕らのようなプロコーチから見ると、本当に歓迎すべき流れです。

もう高価な道具に頼ったバッティングは12球団ジュニアトーナメントでは通用しません。だからこそ2023年、もしくは今年5年生で2024年の出場を目指したいのであれば、今すぐビヨンドを使うのはやめてください。
※ 12球団ジュニアトーナメントに参加できるのは小学5〜6年生の男女

12球団ジュニアトーナメントのバット

各チームの優勝回数はドラゴンズジュニアが最多!

さて、ここで12球団ジュニアの優勝回数を数えてみることにしましょう。12球団ジュニアトーナメントで優勝するには、どのチームに入るのが最も有利なのでしょうか?!

ドラゴンズジュニア:優勝4回
2008、2015、2017、2021

ジャイアンツジュニア:優勝3回
2012、2013、2014

スワローズジュニア:優勝3回
2005、2019、2020

イーグルスジュニア:優勝2回
2006、2018

バファローズジュニア:優勝1回
2007

ホークスジュニア:優勝1回
2009

マリーンズジュニア:優勝1回
2010

ファイターズジュニア:優勝1回
2011

ベイスターズジュニア:優勝1回
2016

タイガースジュニア:優勝1回
2022

優勝経験なし
ライオンズジュニア、カープジュニア

2022年までの18回で、優勝経験がないのは12球団中でライオンズとカープのみです。2022年はライオンズジュニアはあと少しで悲願の初優勝、というところまで行ったのですが、最終的には惜しくも敗れてしまいました。2023年12月の大会では、是非ともライオンズジュニアかカープジュニアに初優勝を遂げて欲しいですね!

12球団ジュニアトーナメント合格対策実施中!

12球団ジュニアに選ばれるためには、入念な準備を整えることが重要です。当野球塾の生徒さんの多くが、五年生の頃から六年生になった時に12球団ジュニアに合格するために頑張ってレッスンを受けています。ピッチングやバッティングの技術だけではなく、実力を本番で発揮するために不可欠なメンタル強化、怪我をしない体作りなどなど、一年間かけてじっくりと抜かりなく準備することによって、合格できる確率を高めることができます。実際2023年夏に行われているセレクションでも、当野球塾の生徒さん6名がすでに、最終選考を免除されての合格内定をもらっています。

12球団ジュニアトーナメントは、ただ野球が上手いだけでは合格できません。では他に何が必要なのか?当野球塾のレッスンでは技術面だけではなく、実際のセレクションでのこれまでの傾向を踏まえながら、12球団ジュニアトーナメントの出場を目指す小学生のレッスンをしています。

もしレッスン内容にご興味がありましたら、ぜひ一度お気軽にLINEよりお声掛けくださいませ。

レッスン担当:カズコーチ
⚾️ 僕のLINEはこちらから友だち追加してください
⚾️ レッスンの詳細ページはこちら

一次選考で重要になってくるビデオ作りとアカデミーからの推薦状

12球団ジュニアの中でも、優勝に向けた取り組み方は球団ごとに異なります。例えば合格者はだいたい8〜9月に決まるのですが、16名のメンバー決定後は土日に試合を組みながら12月の本戦に向けて調整したり、中には合宿を行う球団もあります。

そして12球団の中には、少年野球向けの野球アカデミーを持っている球団もあります。例えばジャイアンツやライオンズですね。ジャイアンツジュニアの場合はジャイアンツアカデミーからの推薦状が強力に働いたり、ライオンズジュニアの場合は二次選考でライオンズアカデミーの選手をまとめたグループを作り、選考するコーチからも他の選手よりもやや重点的にプレーを見てもらうことができます。

アカデミーを持っている球団のアカデミー所属選手はこのように、セクれションで多少有利になります。例えば一次選考は必ず通過できる、というようなケースもあります。その他ジャビットカップという大会があるのですが、2名のみではありますが、ジャビットカップで活躍をするとジャビットカップから推薦状をもらうこともできます。

親御さんはお子さんがプレーする姿をできるだけたくさん撮影してください!

そして甘くみることができないのが一次選考です。コロナ禍以降は一次選考でビデオ選考を重視する球団が増えました。90秒〜数分程度の自己アピールビデオを作って球団に送るのですが、このビデオの作り方が下手だと、どんなに野球が上手くても選考する側のコーチに印象を残せず、落選してしまうケースが多いんです。

コロナ対策がやや緩和され始めている2023年の日本ですが、今年の12球団ジュニアトーナメントの一次選考にビデオ選考が残るのかなくなるのかはまだ分かりません。そしてコロナ対策が緩和されて申し込み人数の増加が予測される場合は、去年はビデオ選考はなくても今年から導入されるというケースも考えられます。

僕のレッスンで行っている対策では、このアピールビデオ作りをお手伝いすることもできます。どうすればコーチの印象に残る良いアピールビデオを作れるのか、ということをアドバイスしたり、実際にビデオ作りをお手伝いすることもあります。

12球団ジュニアトーナメントの出場を目指す場合、親御さんはお子さんが試合でプレーする姿をできるだけ良い映像でできるだけたくさん撮影してください。活躍している場面のビデオが少なければ良いアピールビデオを作ることもできませんので、お子さんの試合を応援する際は、お持ちの端末で撮影できる最上級の画質で、手振れや逆光に気をつけて撮影するようにしてください。お子さんがプレーしているビデオの量が多ければ多いほど、僕もアピールビデオ作りのお手伝いがしやすくなります。

12球団ジュニアトーナメント

2024年12球団ジュニアトーナメント応募詳細

2024年度版の情報を公開している球団のみ順次リンクを更新していきます。

今年の大会日程
2024年12月26日(木)〜12月29日(日)
2024年12月30日(月)は予備日

開催球場
神宮球場、ベルーナドーム

パ・リーグ

オリックスバファローズジュニア

福岡ソフトバンクホークスジュニア

埼玉西武ライオンズジュニア

東北楽天イーグルスジュニア

千葉ロッテマリーオンズジュニア

北海道日本ハムファイターズジュニア

セ・リーグ

東京ヤクルトスワローズジュニア

横浜DeNAベイスターズジュニア

阪神タイガースジュニア(2022年優勝)

読売ジャイアンツジュニア

広島カープジュニア

中日ドラゴンズジュニア

一次選考用ビデオ撮影のコツ

撮影はすべて横画面で!

1️⃣ スマホやデジカメの撮影設定は、必ず一番高画質な設定で撮ろう!
設定画質が低いと、動画再生した時に動作を細かく見ることができなくなることがあります。 普段はスマホなどの容量を節約するために撮影時の画質を低く設定している方も、 セレクション用の動画を撮影する時は4Kなどの高画質設定にしておきましょう。 ちなみにスマホやタブレットの場合、一般的には画面側のフロントカメラよりも、 背面のリアカメラの方が画質が良いので、必ずリアカメラで撮影するようにしましょう!

2️⃣ できるだけ三脚を使って撮ろう!
カメラ用の三脚+スマホアダプターのセットで、安いと¥2,000くらいで買うことができます。 もしくは100円ショップなどで卓上用の小さなスマホ用三脚を購入し、 それを椅子やテーブルの上に乗せて、選手の胸やお腹の高さにレンズをセットして撮りましょう。 手持ち撮影だと手ブレにより、フォームが見にくくなることがありますので、 三脚を使ってカメラを固定して撮影するようにしましょう。 どうしても三脚を用意できない場合は、 自分が三脚になったつもりでまずは両脇を閉め、 カメラの横(片側)と下部を両手でしっかりと固定して持って撮影してください。 脇が開いていると手振れの原因になるので注意しましょう。 それと、カメラを水平にすることもお忘れなく!

3️⃣ フレーミングは最大サイズで撮ろう!
選手が投げたり打ったりしても画面から体がはみ出さない程度で、選手が最大サイズで映るようにしてください。 選考するコーチは基本的には動画をパソコンやタブレットで再生します。 パソコンやタブレットのサイズはテレビよりもはるかに小さいので、 遠目で撮影をしてしまうと選手のフォームをよく見ることができません。 プロ野球のテレビ中継は画面の上下に余白があると思いますが、 その余白がなくなるくらい、ギリギリまで近付いで撮影をしてください。 でも動いた時に選手が画面からはみ出ないようにご注意ください。

4️⃣ 自己アピール動画はレンズを見てハキハキと喋ろう!
自己アピール動画を自撮りする場合もカメラは横画面で撮影してください。 そしてフロントカメラで撮影する場合でも画面を見ながらではなく、 必ずレンズを見ながら、ハキハキと滑舌よく喋りましょう。 レンズを見て自撮りすることで、動画を見るコーチたちが 「この子は相手の目を見てしっかりと話せる」という良い印象を持ちます。 逆に画面を見ながら喋ってしまうと、下を向いて喋っているという印象を与えることがありますのでご注意ください。 そして喋る内容はアドリブではなく、原稿を作って喋りましょう。 原稿の内容はそれほど長くはならないはずなので、原稿を作ったら、 その原稿の内容を暗記して、何度も練習して、滑舌よく聞き取りやすく喋り、 良いテイクが撮れるまではトライ&エラーで何度でも繰り返し根気強く撮影しましょう。

5️⃣ 撮影した動画はアプリで編集しよう!
iPhone、iPad、Macの場合はiMovieというアプリを使うと無料で質の良い編集を行うことができます。 ちなみにオススメの編集アプリはAdobe Premiere Rushというスマホ・タブレット用アプリです。 iPhoneの場合は月額¥550なのですが、良いセレクション用動画を作るためなら安いものだと思います。 Premiere Rushで必ず使って欲しい機能は、 「自動ボリューム」「バックグラウンドノイズを除去」「反響音を抑制」の3つです。 自己アピール動画は特にこの3つの機能は必ず使って、聞き取りやすい音声にしてください。 また、場面を切り替える時はトランジション効果を使うとすごく格好よくなります! Premiere Rushでは動画の拡大も簡単に行えますので、 拡大しても画質が潰れて映像が荒くならないように、スマホでも可能なら4Kで撮影しておくと安心です。 ただし、古いスマホやタブレットだと4K動画の編集がすごく重くなることがあるため、 あらかじめお持ちの端末のスペックをチェックしておきましょう。

6️⃣ 編集は凝り過ぎないように注意!
セレクション用の動画は長くても90秒くらいだと思うのですが、 映画のような凝った編集にする必要はありません。 重要なことはやはり、プレーしている動画ならできるだけ見やすく大きく撮ること、 自己アピール動画なら一言一言何を言っているかハッキリ分かるようにすることです。 また、撮影する時は逆光にもご注意ください。逆光で撮ってしまうと選手がシルエットになってしまいます。 太陽や照明は、カメラの後ろ側から選手を照らすような形でカメラ位置を設定してください。 「太陽と選手のちょうど真ん中にカメラを置く」と考えていただけると、順光でキレイに撮れると思います。 せっかくセレクションに参加するのですから、あとで後悔しないように丁寧に根気強く動画を作って、 一次選考を突破できるように頑張ってください!!

12球団ジュニアトーナメント対策のまとめ

12球団ジュニアトーナメントで二次選考に進むためには、ライオンズジュニアが公表している条件がひとつの目安になりそうです。ライオンズジュニアの場合は以下の条件を1つ以上クリアしている選手が一次選考の対象になりますが、もちろん最終的なメンバーに選ばれるためには、最低限下記すべてをクリアしておく必要があります。

  1. 50m8.5秒以下
  2. 球速90km/h以上
  3. 遠投50m以上
  4. その他特筆すべき技能

ちなみにライオンズジュニアでは遠投50m以上が一次選考の条件ですが、他球団は60m以上を条件にしていたりもしますので、50mは本当に最低限の遠投距離と考えておく必要があります。

そしてこれら4つをすべてクリアしているのに不合格になってしまう選手も全国には数え切れないほどいます。そして中には実力的には192名の中に選ばれるべきなのに、その他の要素でもったいない点があり選考漏れしてしまう子も大勢います。だからこそ僕はこのページの上の方でお伝えしたわけです、野球が上手なだけでは合格できない、と。

選考するコーチの印象に残ることが合格への近道!

野球が上手なのは当たり前。それプラス、選考するコーチの印象に残る選手になれないと12球団ジュニアで最後の192名に残ることはできません。また逆に、選手としての総合力では他の子よりも劣っていたとしても、選考するコーチに「この子は戦力になる!」という印象を持ってもらえると合格することができます。

12球団ジュニアトーナメントの本戦はJ Sportsでライブ配信されます。ご覧になったことがある方も多いと思いますが、各球団16名全員がエースで4番というタイプではありません。野球はエースタイプだけを集めても、4番打者タイプだけを集めても勝つことはできません。ジュニアチームを率いる監督たちは、任されたチームを優勝に導くために熟考しチーム作り(選手選び)を行います。

ですので例えばバッティングが多少他の子よりも劣っていても、凄く足が速くて守備が上手い子が補欠として選ばれるケースもあります。逆にエースで4番打者タイプであっても、他の子とポジションやタイプが被ってしまうと選考から漏れることもあります。しかし合格・不合格の子たちに大差はありません。本当に僅かな実力差と運の差だけです。

「その僅かな差で不合格になるのは悔しい!」と思っている子や親御さんが、僕のマンツーマンレッスンで対策を行ってくれているというわけです。レッスンでは技術力を向上させることはもちろん、同レベルの選手に選考で負けないようにするための対策を伝授しています!もしご興味ある方は、お気軽にLINEよりお声かけください。本気で12球団ジュニアトーナメントの出場を目指すのであれば、やらずに後悔するのではなく、できることをすべてやって笑顔でセレクションを終えられるようにしましょう!


TeamKazオンライン野球塾からは、2023年もすでに複数の生徒さんが最終選考を免除された上で12球団ジュニアの最終合格内定をもらったり、一次・二次選考突破の通知をもらっています。そしてセレクションは秋までまだまだ続くため、当野球塾からの最終選考の合格者はもう少し増えていくと思います。一人でも多くの生徒さんに合格してもらうため、そして合格した生徒さんたちに本戦でも活躍してもらうため、今後もレッスンでは全力でサポートを続けて参ります!

ちなみに合格内定をもらっても、その直後に行われる検診で肩肘に不安が見られた場合、内定は取り消しとなります。そうならないためにも、投げる・打つだけではなく、怪我をしないコンディショニングにも十分な時間を割いていきましょう。

目指せ!12球団ジュニアトーナメント出場

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野球が上手なだけでは合格できない12球団ジュニアトーナメント

2005年から始まった12球団ジュニアトーナメントも、昨年2022年の大会で18回目の開催となりました。小学生たちをマンツーマンレッスンしていても、近年この大会を目標にしている小学生がすごく増えてきているなという印象があります。

当野球塾が開校したのは2010年1月1日なのですが、2013年くらいからこの大会の出場を目指しレッスンを受けにくる小学生の人数が増え始めました。ちなみに当野球塾から最初に出た合格者は2013年のスワローズジュニアとマリーンズジュニアに合格した2名でした。それ以来当野球塾からは、20人以上の小学生が本戦に出場しています。

この記事を書いている2023年3月末の時点でも、リアルタイムで6名の小学生がセレクションの合格を目指して僕のマンツーマンレッスンを受けてくれています。しかし全国で、この大会でプロ野球選手と同じユニフォームを着ることができるのは僅か192名のみ!

1球団16名しか選ばれないわけですが、しかし各球団の二次選考には多い球団では400名以上が参加すると言われており、出場を目指す小学生にとっては本当に狭き門となります。

12球団ジュニアトーナメント対策実施中!

もちろん当野球塾でレッスンを受けても100%セレクションに合格できることはないわけですが、しかし出場を目指す生徒さんたちには全員に合格してもらいたいというのがレッスン担当コーチの僕の思いです。そして合格してもらえるように、毎日できる限りのレッスンを行っています。

上述した通り、僕の生徒さんからは20人以上がセレクションに合格しています。僕は仕事柄、12球団ジュニアの選考を担当するコーチたちとも面識があり、そのコーチたちからも可能な限り情報を集め、生徒さんたちにできるだけ合格しやすくなるテクニックを伝えています。そしてこれまでにセレクションを受けた生徒さんたちからいただいた情報も、合格対策レッスンで活用させてもらっています。

そしてここで一つお伝えしておきたいことがあります。12球団ジュニアは、野球が上手なだけでは合格できない、ということです。もちろん野球が上手じゃないと合格はできないわけですが、しかしそれだけでは合格できないということを、出場を目指すお子さんを持ちの親御さんたちには特に知っておいて欲しいなと思います。

12球団ジュニアトーナメント

高価なバットに頼ったバッティングが通用しなくなった12球団ジュニアトーナメント

さて、2023年以降の大会で合格を目指す方にまず注意してもらいたい点があります。2022年夏までに行われたセレクションでは、実技テストでもビヨンドなどの複合バット、いわゆる「よく飛ぶバット」を使うことができていました。しかし2022年12月に行われた本大会からは複合バットの使用は禁止となりました。

「よく飛ぶバット」の利用禁止の流れは、今日本では少年野球〜高校野球の間で勢いを増しています。12球団ジュニアトーナメントでは2022年の本大会から禁止され、高校野球でも今後は「よく飛ぶ金属バット」の使用は禁止される流れとなります。ちなみに高野連に属する野球部であれば、すべての野球部に今後2本ずつ、新規格のバットが無償提供される予定です。

つまり何が言いたいのか?それは、12球団ジュニアトーナメントの出場を目指すのであれば、今すぐビヨンドなどの複合バットを使うのはやめてください、ということです。ビヨンド慣れしたスウィングでは、普通の金属バットや木製バットでヒットを打つことはできないからです。

よく飛ぶバットの使用禁止が少年野球〜高校野球の現在の流れ

例えば超高校級スラッガーがプロ入り後に鳴かず飛ばずというケースがよくありますよね?これは高校野球で使っていた「よく飛ぶ金属バット」をプロ仕様の木製バットに持ち替えた際、狭くなったスウィートスポットに対応できなくて何年ももがき苦しんでしまうからです。ちなみに金属バットのスウィートスポットは約2cmで、木製バットのスウィートスポットは2mm程度です。さらに付け加えると、ビヨンドのスウィートスポットは20cm以上です。

12球団ジュニアトーナメントでも2023年からは複合バットを使うことはできません。つまりこれは高価な道具に頼って野球をするのではなく、技術力を上げることに回帰した流れだと言えます。僕らのようなプロコーチから見ると、本当に歓迎すべき流れです。

もう高価な道具に頼ったバッティングは12球団ジュニアトーナメントでは通用しません。だからこそ2023年、もしくは今年5年生で2024年の出場を目指したいのであれば、今すぐビヨンドを使うのはやめてください。
※ 12球団ジュニアトーナメントに参加できるのは小学5〜6年生の男女

12球団ジュニアトーナメントのバット

各チームの優勝回数はドラゴンズジュニアが最多!

さて、ここで12球団ジュニアの優勝回数を数えてみることにしましょう。12球団ジュニアトーナメントで優勝するには、どのチームに入るのが最も有利なのでしょうか?!

ドラゴンズジュニア:優勝4回
2008、2015、2017、2021

ジャイアンツジュニア:優勝3回
2012、2013、2014

スワローズジュニア:優勝3回
2005、2019、2020

イーグルスジュニア:優勝2回
2006、2018

バファローズジュニア:優勝1回
2007

ホークスジュニア:優勝1回
2009

マリーンズジュニア:優勝1回
2010

ファイターズジュニア:優勝1回
2011

ベイスターズジュニア:優勝1回
2016

タイガースジュニア:優勝1回
2022

優勝経験なし
ライオンズジュニア、カープジュニア

2022年までの18回で、優勝経験がないのは12球団中でライオンズとカープのみです。2022年はライオンズジュニアはあと少しで悲願の初優勝、というところまで行ったのですが、最終的には惜しくも敗れてしまいました。2023年12月の大会では、是非ともライオンズジュニアかカープジュニアに初優勝を遂げて欲しいですね!

12球団ジュニアトーナメント合格対策実施中!

12球団ジュニアに選ばれるためには、入念な準備を整えることが重要です。当野球塾の生徒さんの多くが、五年生の頃から六年生になった時に12球団ジュニアに合格するために頑張ってレッスンを受けています。ピッチングやバッティングの技術だけではなく、実力を本番で発揮するために不可欠なメンタル強化、怪我をしない体作りなどなど、一年間かけてじっくりと抜かりなく準備することによって、合格できる確率を高めることができます。実際2023年夏に行われているセレクションでも、当野球塾の生徒さん6名がすでに、最終選考を免除されての合格内定をもらっています。

12球団ジュニアトーナメントは、ただ野球が上手いだけでは合格できません。では他に何が必要なのか?当野球塾のレッスンでは技術面だけではなく、実際のセレクションでのこれまでの傾向を踏まえながら、12球団ジュニアトーナメントの出場を目指す小学生のレッスンをしています。

もしレッスン内容にご興味がありましたら、ぜひ一度お気軽にLINEよりお声掛けくださいませ。

レッスン担当:カズコーチ
⚾️ 僕のLINEはこちらから友だち追加してください
⚾️ レッスンの詳細ページはこちら

一次選考で重要になってくるビデオ作りとアカデミーからの推薦状

12球団ジュニアの中でも、優勝に向けた取り組み方は球団ごとに異なります。例えば合格者はだいたい8〜9月に決まるのですが、16名のメンバー決定後は土日に試合を組みながら12月の本戦に向けて調整したり、中には合宿を行う球団もあります。

そして12球団の中には、少年野球向けの野球アカデミーを持っている球団もあります。例えばジャイアンツやライオンズですね。ジャイアンツジュニアの場合はジャイアンツアカデミーからの推薦状が強力に働いたり、ライオンズジュニアの場合は二次選考でライオンズアカデミーの選手をまとめたグループを作り、選考するコーチからも他の選手よりもやや重点的にプレーを見てもらうことができます。

アカデミーを持っている球団のアカデミー所属選手はこのように、セクれションで多少有利になります。例えば一次選考は必ず通過できる、というようなケースもあります。その他ジャビットカップという大会があるのですが、2名のみではありますが、ジャビットカップで活躍をするとジャビットカップから推薦状をもらうこともできます。

親御さんはお子さんがプレーする姿をできるだけたくさん撮影してください!

そして甘くみることができないのが一次選考です。コロナ禍以降は一次選考でビデオ選考を重視する球団が増えました。90秒〜数分程度の自己アピールビデオを作って球団に送るのですが、このビデオの作り方が下手だと、どんなに野球が上手くても選考する側のコーチに印象を残せず、落選してしまうケースが多いんです。

コロナ対策がやや緩和され始めている2023年の日本ですが、今年の12球団ジュニアトーナメントの一次選考にビデオ選考が残るのかなくなるのかはまだ分かりません。そしてコロナ対策が緩和されて申し込み人数の増加が予測される場合は、去年はビデオ選考はなくても今年から導入されるというケースも考えられます。

僕のレッスンで行っている対策では、このアピールビデオ作りをお手伝いすることもできます。どうすればコーチの印象に残る良いアピールビデオを作れるのか、ということをアドバイスしたり、実際にビデオ作りをお手伝いすることもあります。

12球団ジュニアトーナメントの出場を目指す場合、親御さんはお子さんが試合でプレーする姿をできるだけ良い映像でできるだけたくさん撮影してください。活躍している場面のビデオが少なければ良いアピールビデオを作ることもできませんので、お子さんの試合を応援する際は、お持ちの端末で撮影できる最上級の画質で、手振れや逆光に気をつけて撮影するようにしてください。お子さんがプレーしているビデオの量が多ければ多いほど、僕もアピールビデオ作りのお手伝いがしやすくなります。

12球団ジュニアトーナメント

2024年12球団ジュニアトーナメント応募詳細

2024年度版の情報を公開している球団のみ順次リンクを更新していきます。

今年の大会日程
2024年12月26日(木)〜12月29日(日)
2024年12月30日(月)は予備日

開催球場
神宮球場、ベルーナドーム

パ・リーグ

オリックスバファローズジュニア

福岡ソフトバンクホークスジュニア

埼玉西武ライオンズジュニア

東北楽天イーグルスジュニア

千葉ロッテマリーオンズジュニア

北海道日本ハムファイターズジュニア

セ・リーグ

東京ヤクルトスワローズジュニア

横浜DeNAベイスターズジュニア

阪神タイガースジュニア(2022年優勝)

読売ジャイアンツジュニア

広島カープジュニア

中日ドラゴンズジュニア

一次選考用ビデオ撮影のコツ

撮影はすべて横画面で!

1️⃣ スマホやデジカメの撮影設定は、必ず一番高画質な設定で撮ろう!
設定画質が低いと、動画再生した時に動作を細かく見ることができなくなることがあります。 普段はスマホなどの容量を節約するために撮影時の画質を低く設定している方も、 セレクション用の動画を撮影する時は4Kなどの高画質設定にしておきましょう。 ちなみにスマホやタブレットの場合、一般的には画面側のフロントカメラよりも、 背面のリアカメラの方が画質が良いので、必ずリアカメラで撮影するようにしましょう!

2️⃣ できるだけ三脚を使って撮ろう!
カメラ用の三脚+スマホアダプターのセットで、安いと¥2,000くらいで買うことができます。 もしくは100円ショップなどで卓上用の小さなスマホ用三脚を購入し、 それを椅子やテーブルの上に乗せて、選手の胸やお腹の高さにレンズをセットして撮りましょう。 手持ち撮影だと手ブレにより、フォームが見にくくなることがありますので、 三脚を使ってカメラを固定して撮影するようにしましょう。 どうしても三脚を用意できない場合は、 自分が三脚になったつもりでまずは両脇を閉め、 カメラの横(片側)と下部を両手でしっかりと固定して持って撮影してください。 脇が開いていると手振れの原因になるので注意しましょう。 それと、カメラを水平にすることもお忘れなく!

3️⃣ フレーミングは最大サイズで撮ろう!
選手が投げたり打ったりしても画面から体がはみ出さない程度で、選手が最大サイズで映るようにしてください。 選考するコーチは基本的には動画をパソコンやタブレットで再生します。 パソコンやタブレットのサイズはテレビよりもはるかに小さいので、 遠目で撮影をしてしまうと選手のフォームをよく見ることができません。 プロ野球のテレビ中継は画面の上下に余白があると思いますが、 その余白がなくなるくらい、ギリギリまで近付いで撮影をしてください。 でも動いた時に選手が画面からはみ出ないようにご注意ください。

4️⃣ 自己アピール動画はレンズを見てハキハキと喋ろう!
自己アピール動画を自撮りする場合もカメラは横画面で撮影してください。 そしてフロントカメラで撮影する場合でも画面を見ながらではなく、 必ずレンズを見ながら、ハキハキと滑舌よく喋りましょう。 レンズを見て自撮りすることで、動画を見るコーチたちが 「この子は相手の目を見てしっかりと話せる」という良い印象を持ちます。 逆に画面を見ながら喋ってしまうと、下を向いて喋っているという印象を与えることがありますのでご注意ください。 そして喋る内容はアドリブではなく、原稿を作って喋りましょう。 原稿の内容はそれほど長くはならないはずなので、原稿を作ったら、 その原稿の内容を暗記して、何度も練習して、滑舌よく聞き取りやすく喋り、 良いテイクが撮れるまではトライ&エラーで何度でも繰り返し根気強く撮影しましょう。

5️⃣ 撮影した動画はアプリで編集しよう!
iPhone、iPad、Macの場合はiMovieというアプリを使うと無料で質の良い編集を行うことができます。 ちなみにオススメの編集アプリはAdobe Premiere Rushというスマホ・タブレット用アプリです。 iPhoneの場合は月額¥550なのですが、良いセレクション用動画を作るためなら安いものだと思います。 Premiere Rushで必ず使って欲しい機能は、 「自動ボリューム」「バックグラウンドノイズを除去」「反響音を抑制」の3つです。 自己アピール動画は特にこの3つの機能は必ず使って、聞き取りやすい音声にしてください。 また、場面を切り替える時はトランジション効果を使うとすごく格好よくなります! Premiere Rushでは動画の拡大も簡単に行えますので、 拡大しても画質が潰れて映像が荒くならないように、スマホでも可能なら4Kで撮影しておくと安心です。 ただし、古いスマホやタブレットだと4K動画の編集がすごく重くなることがあるため、 あらかじめお持ちの端末のスペックをチェックしておきましょう。

6️⃣ 編集は凝り過ぎないように注意!
セレクション用の動画は長くても90秒くらいだと思うのですが、 映画のような凝った編集にする必要はありません。 重要なことはやはり、プレーしている動画ならできるだけ見やすく大きく撮ること、 自己アピール動画なら一言一言何を言っているかハッキリ分かるようにすることです。 また、撮影する時は逆光にもご注意ください。逆光で撮ってしまうと選手がシルエットになってしまいます。 太陽や照明は、カメラの後ろ側から選手を照らすような形でカメラ位置を設定してください。 「太陽と選手のちょうど真ん中にカメラを置く」と考えていただけると、順光でキレイに撮れると思います。 せっかくセレクションに参加するのですから、あとで後悔しないように丁寧に根気強く動画を作って、 一次選考を突破できるように頑張ってください!!

12球団ジュニアトーナメント対策のまとめ

12球団ジュニアトーナメントで二次選考に進むためには、ライオンズジュニアが公表している条件がひとつの目安になりそうです。ライオンズジュニアの場合は以下の条件を1つ以上クリアしている選手が一次選考の対象になりますが、もちろん最終的なメンバーに選ばれるためには、最低限下記すべてをクリアしておく必要があります。

  1. 50m8.5秒以下
  2. 球速90km/h以上
  3. 遠投50m以上
  4. その他特筆すべき技能

ちなみにライオンズジュニアでは遠投50m以上が一次選考の条件ですが、他球団は60m以上を条件にしていたりもしますので、50mは本当に最低限の遠投距離と考えておく必要があります。

そしてこれら4つをすべてクリアしているのに不合格になってしまう選手も全国には数え切れないほどいます。そして中には実力的には192名の中に選ばれるべきなのに、その他の要素でもったいない点があり選考漏れしてしまう子も大勢います。だからこそ僕はこのページの上の方でお伝えしたわけです、野球が上手なだけでは合格できない、と。

選考するコーチの印象に残ることが合格への近道!

野球が上手なのは当たり前。それプラス、選考するコーチの印象に残る選手になれないと12球団ジュニアで最後の192名に残ることはできません。また逆に、選手としての総合力では他の子よりも劣っていたとしても、選考するコーチに「この子は戦力になる!」という印象を持ってもらえると合格することができます。

12球団ジュニアトーナメントの本戦はJ Sportsでライブ配信されます。ご覧になったことがある方も多いと思いますが、各球団16名全員がエースで4番というタイプではありません。野球はエースタイプだけを集めても、4番打者タイプだけを集めても勝つことはできません。ジュニアチームを率いる監督たちは、任されたチームを優勝に導くために熟考しチーム作り(選手選び)を行います。

ですので例えばバッティングが多少他の子よりも劣っていても、凄く足が速くて守備が上手い子が補欠として選ばれるケースもあります。逆にエースで4番打者タイプであっても、他の子とポジションやタイプが被ってしまうと選考から漏れることもあります。しかし合格・不合格の子たちに大差はありません。本当に僅かな実力差と運の差だけです。

「その僅かな差で不合格になるのは悔しい!」と思っている子や親御さんが、僕のマンツーマンレッスンで対策を行ってくれているというわけです。レッスンでは技術力を向上させることはもちろん、同レベルの選手に選考で負けないようにするための対策を伝授しています!もしご興味ある方は、お気軽にLINEよりお声かけください。本気で12球団ジュニアトーナメントの出場を目指すのであれば、やらずに後悔するのではなく、できることをすべてやって笑顔でセレクションを終えられるようにしましょう!


TeamKazオンライン野球塾からは、2023年もすでに複数の生徒さんが最終選考を免除された上で12球団ジュニアの最終合格内定をもらったり、一次・二次選考突破の通知をもらっています。そしてセレクションは秋までまだまだ続くため、当野球塾からの最終選考の合格者はもう少し増えていくと思います。一人でも多くの生徒さんに合格してもらうため、そして合格した生徒さんたちに本戦でも活躍してもらうため、今後もレッスンでは全力でサポートを続けて参ります!

ちなみに合格内定をもらっても、その直後に行われる検診で肩肘に不安が見られた場合、内定は取り消しとなります。そうならないためにも、投げる・打つだけではなく、怪我をしないコンディショニングにも十分な時間を割いていきましょう。

目指せ!12球団ジュニアトーナメント出場
球速アップは筋トレする前にまずはフォームを見直せ!〜上半身編〜

球速アップを目指して筋トレを始める前に知っておいて欲しいこと

球速をアップさせるために上半身を一生懸命筋トレで鍛える投手も多いと思いますが、そのやり方は誤りです。上半身の筋肉は球速をアップさせる目的で鍛えるべきでないんです。高い技術を持つ一部のプロ投手をよく観察してみてください。身長180〜185cm、体重70〜80kg程度の体格のピッチャーでも150〜155km/hのストレートを投げています。つまり技術があれば、必要以上に筋トレをしなくても球速をアップさせることができるんです。

しかしその技術を得るためには下半身の安定感が必要となります。フリーフットからランディングさせた非軸足(ステップする脚の足部)は絶対的に固定されている必要があるわけですが、それを直接的・間接的に可能にしてくれるのが主に腸腰筋群、大腿二頭筋、内転筋群、腓腹筋・ヒラメ筋となります。例えば腓腹筋とヒラメ筋(ふくらはぎ)が弱い、もしくは使いこなせていないと、ランディング後に足首が背屈してしまい、上半身が突っ込みやすくなります。そして上半身が突っ込んでしまうとアクセラレーションの距離が短くなるため、当然球速がアップすることはありません。

このようなメカニズムを理解せずに、ただひたすら上半身の筋トレをしてしまうと、いつまで経っても根本的な球速アップを実現させることができなくなります。根本的な球速アップとはつまり、いま全力投球をしなければ出せない球速を、80%の力でも投げられるようになる、ということです。

筋トレに頼りすぎると初速と終速差の大きいストレートになってしまう

ちなみに上半身の筋力に頼った投げ方をしてしまうと、よほどレベルの高い技術を持っていない限りは初速と終速の差が大きくなり、すぐに失速するストレートになってしまいます。一方上半身の筋力に頼らず、フォームの技術によって投げられる速球は初速と終速差が小さくなり、例え球速が出ていなかったとしても簡単に空振りを取れるボールになります。

なおプロアマ問わず、ほとんどのスポーツ選手は平均的には鍛え上げた筋肉の3割程度しか使いこなせていないという科学的研究もあります。一方種目を問わず、トップクラスの選手たちはその割合が他の選手より高いこともよく知られています。ということは筋肉を強化することももちろん大切なのですが、それ以上に大切なのは鍛えた筋肉をしっかりと使いこなすということになります。

そして球速アップと筋トレを同時に考える場合、上述したように筋トレによって球速をアップさせようとはしないでください。動作改善により良いフォームで投げられるようになった結果球速がアップし、そのアップした球速の負荷に身体が耐えられるように筋トレをしてください。つまり筋トレは球速アップを目的とするのではなく、球速がアップした際のプロテクターを作るという意味合いで行うのが正しい考え方です。

球速アップのコツはテイクバックを作るタイミングにあり!

【テイクバック】
スローイングアームの肩:最大内旋状態(テイクバック)
リーディングアームの肩:最大内旋状態(エイミング
軸脚側股関節:外転(エッジング)
非軸脚側の股関節:最大外旋状態
この時の下半身の動き:ランディング

テイクバック

ピッチングにおける球速は、ボールを加速させる距離を長くすることによって球速をアップさせることが大切です。もちろんそのためには適切な下半身の使い方を身につけ、キネティックチェーンもしっかりと成り立っていることが前提になるわけですが、下半身の動きが良いフォームになっていたとしても、スローイングアームを加速させる距離が短ければ球速はアップしません。

じゃあどのように加速距離を延ばせばいいのかと言うと、今回は動作それぞれのタイミングをテーマにして解説してみたいと思います。平地でキャッチボールをする際、非軸足がランディングする瞬間、手に持ったボールはどこにありますか?多くの選手が頭と同じくらいの高さに来ていると思います。しかしこれでは加速距離が短くなるため、球速はあまりアップしません。

プロ野球で150km/h以上のストレートを投げている投手の腕を振る速度を計測しても、せいぜい100~110km/h程度なんです。つまりいくら一生懸命腕を強く速く振ろうとしても限度があり、それによってアップするのはせいぜい1〜2km/h程度です。しかしゆったりと動いているように見えても、加速距離が長いプロ野球の投手のボールは簡単に150km/hを超えていきます。ちなみにボールを加速させる動作のことをスポーツ科学ではアクセラレーションフェイズと呼びます。

テイクバックを作るタイミングを改善すれば筋トレをしなくても球速は上がる!

スローイングアームはランディングさせた非軸足をしっかり踏ん張った状態でしか、本当の意味で鋭く振ることはできません。踏ん張らずに腕を鋭く振ろうとしても手投げにしかなりませんし、土台が安定していなければ制球力も大幅に低下してしまいます。

球速をアップさせるためには、平地では非軸足をランディングさせた際に、スローイングアームがまだ下向きの正方形になっているのがベストです。この下向きの正方形がテイクバックになるわけですが、平地の場合は腕に力みがなければテイクバックをランディングの瞬間に作れるようになります。ちなみに傾斜があるマウンドの場合は、傾斜がある分ランディングではスローイングアームの前腕は水平まで上げてしまって大丈夫です。つまりコンキングを半分までは進めてもOKということです。

テイクバックをこのタイミングに揃えて作れるようになると、ボールをリリースするための加速距離を最大限伸ばすことができます。球速がなかなかアップしない選手は、だいたいこの加速距離が短くなってしまっているんです。もしくは上述したように、ランディングの瞬間にはもうすでにボールが頭の高さまで来てしまっている選手も多いと思います。まったく同じ筋肉量であっても、テイクバックを作るタイミングを改善できるだけでも球速をアップさせることが可能です。

とにかく腕をリラックスさせたいコックアップフェイズ

【コックアップフェイズ】
スローイングアームの肩:内旋段階で外旋中(アーリーコックアップ)〜ニュートラル〜外旋段階で外旋中(レイトコックアップ)
リーディングアームの肩:内旋段階で外旋中〜ニュートラル〜外旋段階で外旋中(スクロール開始)
軸脚側股関節:内旋段階で内旋中
非軸脚側の股関節:外旋段階で内旋中〜ニュートラル〜内旋段階で内旋中
この時の下半身の動き:ターンバック過程

テイクバックを作った後はコックアップフェイズ(=コッキングフェイズ)に入っていきます。コックアップとは、テイクバックとトップポジションの間の動作のことです。コックアップフェイズで肘が90°以上に伸びてしまっていると肩痛のリスクが高まるため、まずはコックアップが肘が90°になった状態で行われていることが重要です。

球速をアップさせるためには、アクセラレーションフェイズの前段階であるコックアップフェイズで、サイレントピリオドを発生させることがポイントです。サイレントピリオドとは、筋肉の活動を限りなく0に近づけた状態のことで、平たく言うと脱力するという意味です。人間の体は鋭く速く動かしたい直前で脱力しておくことにより、加速させたいポイントで最大限加速させられるようになっています。

逆にコックアップフェイズを腕力などに頼って、持ち上げるような動作にしてしまうと、アクセラレーションフェイズで最速まで加速させることができなくなってしまいます。これはピッチングでもバッティングでも共通です。バッティングの場合はテイクバックに入っていく動作で両腕がしっかりとリラックスできていると、その直後に行うバットスウィングを最速に持っていけるようになります。

コックアップは持ち上げるのではなく、相対的に上げていくことがポイント

球速を上げやすいコックアップフェイズの考え方としては、スローイングアームを持ち上げると考えるのではなく、軸脚側股関節を外転させることによって「く」の字を作り、その動作によって重心を下げていき、相対的にボールを握った手部が挙上していく動作にできるのが理想的です。この動作ができるようになると、肘も下がりにくくなります。

そしてコックアップフェイズでのボールの軌道なのですが、肩甲骨をグイッと入れて肘を背中側に出し、ボールを体側に隠したままエレベーターのように真上に上げていってください。この時肩甲骨を使わずに、肩関節だけでコックアップさせてしまうとボールがバッターから丸見えになり、仮に速いボールを投げられたとしても簡単に打たれてしまいます。

怪我せずに球速がアップするのは内旋型ではなく外旋型トップポジション

【トップポジション】
スローイングアームの肩:最大外旋状態(トップポジション)
リーディングアームの肩:最大外旋状態(スクロール完成)
軸脚側股関節:ほぼニュートラル
非軸脚側の股関節:ほぼニュートラル
この時の下半身の動き:ターンバック過程

トップポジションは投球フォームの中では最も重要です。考え方としては、トップポジション以前の動作は良いトップポジションを作るための動作で、トップポジション後の動作は良い形で作ったトップポジションを使っていく動作となります。つまり投球フォームはトップポジションを境にして前後半に分けて考えます。

球速をアップさせるためにはとにかくトップポジションを正しい形で作っていくことが重要なのですが、しかし残念ながら少年野球チームや野球部の99.9%で、内旋型トップポジションという間違った形のトップポジションを教えてしまっています。内旋型トップポジションから投げてしまうと球速が上がりにくくなるだけではなく、野球肘になるリスクを大幅に上げてしまいます。本当に簡単に肘を痛めてしまう投げ方のため、内旋型トップポジションは絶対に避けたいところです。

内旋型トップポジション

スポーツ科学やスポーツ医学においては、スローイングアームの肩関節が最大外旋したところをトップポジションと呼びます。つまり内旋型トップポジションから投げるということは、理屈的にはトップポジションを作らずに投げるということになるんです。

肩関節を最大外旋させた良い形のトップポジションを作れると、手の甲が真上を向くようになります。そして肘も本来曲がる方向にしか曲がらなくなるため、肘を痛めるリスクがほぼなくなります。逆に内旋型トップポジションで投げてしまうと、アクセラレーションフェイズで肘の内側に外反ストレスがかかってしまい、内側側副靱帯がある肘の内側を痛める野球肘になってしまいます。

外旋型トップポジション

トップポジションでラギングバックを発生させると球速は格段とアップする!

外旋型トップポジションを作ることができると、ラギングバックを使って投げられるようになります。これはいわゆる「割れ」のことで、筋肉をゴムのように使うことができます。例えば両手で輪ゴムを持ってそのゴムを伸ばし、伸びたところで片手を離すとゴムは勢いよく飛んでいきますよね?これがラギングバックのイメージです。

ラギングバック

外旋型トップポジションにより筋肉を伸ばし、伸びた筋肉が縮んでいく勢いを使ってアクセラレーションフェイズでの腕の加速を補助していきます。ラギングバックを発生させられるのは外旋型トップポジションだけです。内旋型トップポジションからラギングバックを発生させようとすると肘の内側に強い外反ストレスがかかって肘を痛めてしまいます。

良いピッチャーは腕がしなって見えますよね?でも当たり前ですが人間の肘はしなりません。そのため本当に腕をしならせようとすると肘を痛めてしまいます。肘がしなって見えるのは、外旋型トップポジションを作った瞬間の腕の形です。外旋型トップポジションを作ることができると、肘で描く矢印が投球方向を向き、まるで肘がしなっているように見えます。

この外旋型トップポジションを作るためには、テイクバックで肩関節を最大内旋させておく必要があります。人間の肩関節というのは、最大内旋させると外旋させやすくなり、最大外旋させると内旋させやすくなります。テイクバックで肩関節を最大内旋させることによって、コックアップフェイズで肩関節を外旋過程(肩関節が外旋方向に回り続けている状態)に入れていきます。すると肩関節が外旋し切り、最大外旋状態になった瞬間で球速がアップしやすい良い形のトップポジションを作れるようになります。

アクセラレーションで上手く加速できると球速はどんどん上がる!

【アクセラレーションフェイズ】
スローイングアームの肩:外旋段階で内旋中
リーディングアームの肩:最大外旋状態
軸脚側股関節:内旋段階で内旋中
非軸脚側の股関節:外旋段階で内旋中〜ニュートラル〜内旋段階で内旋中
この時の下半身の動き:ターンバック過程

アクセラレーションフェイズとはトップポジションとボールリリースの間のフェイズのことです。アクセラレーションとは加速という意味で、球速をアップさせるためにはアクセラレーションフェイズでどれだけ良い加速をできるかが鍵となります。ここで上手く加速できなければ球速は上がりませんし、上手く加速できれば体格に頼らずに球速を上げていくことができます。

球速は体格によってアップさせるものではありません。現にプロ野球選手の中にも、体重が60kg台であっても、身長が160cm台でも150km/h以上のストレートを投げられる投手たちが何人もいます。そしてこのように技術力で球速アップを実現している投手たちの球質は本当に素晴らしく、奪三振率も非常に高いのが特徴です。

アクセラレーションフェイズでの最大の注意点は、腕を正円を描くようには振らない、ということです。この投げ方をしてしまうとボールリリースのタイミングで手部が下に向かって動くようになります。ボールは捕手方向にほぼ水平にリリースしていきたいのに、手部が上から下に向かって動いでしまうと、腕の振りと実際の投球方向のベクトル(エネルギーが働く方向)が食い違ってしまい、仮に筋力を鍛えたとしてもあまり球速は上がらなくなります。上がったとしても初速と終速の差が大きくなり、打者からすると失速してくる打ちやすいボールになってしまいます。

腕は正円ではなく楕円で振ることで球速はアップする!

腕は必ず細長い楕円を描くように振ってください。すると腕を振る方向と投球方向のベクトルが一致し、ボールリリースを最大出力できた状態で迎えられるようになり、球速はみるみるアップしていきます。しかし注意点として、腕の動きだけで楕円を描こうとはしないでください。これをしてしまうと必ず肘が下がってしまうため球速が上がらないどころか、怪我もしやすくなります。

野球ではよく「縦振り」「横振り」という表現をしますが、球速をアップさせるためにはどちらか一方ではなく、縦振りも横振りも両方使っていくべきなんです。縦振りとは股関節を屈曲させ、右投手なら右胸を左太腿に近づけていく動作、左投手なら左胸を右太腿に近づけていく動作のことです。そして横振りとは非軸脚側の股関節を内旋させることにより、上半身をリーディングアーム側に展開していく動作のことです。

下半身の動作が適切になり、縦振りと横振りを同時に使えるようになると、アクセラレーションフェイズで腕が振られていく軌道も自然と楕円に近づいていきます。また、この楕円を描く投げ方は内旋型トップポジションからは行えないため、トップポジションでしっかりと肩関節が外旋状態になっていることが必須動作となります。

目指したいのは球速以上に球質が良くなるボールリリース

【ボールリリース(ストレート)】
スローイングアームの肩:ニュートラル
リーディングアームの肩:最大外旋状態
軸脚側股関節:内旋段階で内旋中(45°程度)
非軸脚側の股関節:内旋段階で内旋中(45°程度)
この時の下半身の動き:ターンバック完了

ボールリリースの瞬間は、投球フォームの中で最も高い負荷がかかる瞬間です。つまりこのボールリリースの形が適切ではないと身体に大きな負荷がかかり、簡単に肩肘を痛めてしまいます。球速をアップさせるためには、まずストレートのボールリリースの瞬間は肩関節は内旋も外旋もしていないニュートラルな状態、なおかつ水平内転も水平外転もしていない状態で迎える必要があります。

ニュートラルな肩の状態でボールリリースを迎えられることにより、シュート回転もスライダー回転もしていない、きれいなバックスピンストレートを投げられるようになります。そしてこのバックスピンの回転軸が水平に近ければ近いほどマグナス力が大きく働き、球速が速くても遅くてもまったく失速しない伸びのあるストレートを投げられるようになります。

マグナス力がしっかり働いてくると初速と終速差がなくなり、このように失速しないストレートになっていきます。このようなボールを「球質が良い」と表現します。勝てる投手になるためには、この球質がとにかく重要です。球質が悪ければ初速160km/hでも簡単に打たれてしまいますし、球質が良ければ初速120km/hでもほとんど打たれなくなります。

ピッチャーとしてはどうしても球速ばかりに目が行きがちですが、しかし本当に重要なのは球速よりも球質です。ですので球速アップを目指す際は、必ず高い球質を維持した状態で球速をアップさせられるようにしていきましょう。

勝てる投手が重視しているのは実は球速ではなくて球質!

そして理想的なボールリリースの形としては、上述した肩関節の状態に加え、手の甲がほぼ真上を向いた状態に持っていくのが最善です。この形にすると人差し指と中指の付け根による弾性力を使えるようになり、ボールリリースに込められるエネルギーをさらに大きくすることができます。

しかし一般的に非常に多いのは、ボールリリースで手の甲が二塁ベースを向いてしまっている形です。この形で投げてしまうと弾性力を使えなくなり、ボールの上に指で蓋をすることもできなくなるため、投げたボールがすっぽ抜けやすくなります。そしてすっぽ抜けることが増えると今度は手首を掌屈させる動作が無意識のうちに入ってきてしまいます。しかし手首を曲げながらリリースを迎えてしまうとボールの回転数は大幅に低下するため、球質を上げることも物理的に不可能になってしまいます。

球質も球速もアップさせるためには、手首は曲げずに真っ直ぐ立てたまま使い、縦振り+横振りで手の甲がほぼ上を向いた状態でリリースを迎えられるようになりましょう。この良い形ができるようになるとボールリリースの瞬間、右投手なら胸が一塁ベンチ、左投手なら胸が三塁ベンチを向くようになります。そしてこの形になることでエクステンション(ピッチャーズプレートからボールリリースまでの距離のこと)が長くなり、リリースポイントも最大限打者に近づけることができ、打者を簡単に差し込めるようになります。

アメリカにトム・ハウスという名コーチがいるのですが、彼は以前エクステンションに関する研究を行いました。その結果、防御率が良い投手たちのほとんどはエクステンションが長く、逆に球速が速くても防御率が悪い投手たちはエクステンションが短いという特徴がハッキリ出たそうです。このことでも重要なのはスピードガンに表示される数字ではなく、球質の良し悪しだということがよく分かりますね。

球速をアップさせるためにフォロースルーで作りたい腰のアザ

【フォロースルー】
スローイングアームの肩:内旋段階で内旋中
リーディングアームの肩:最大外旋状態
軸脚側股関節:内旋段階で内旋中
非軸脚側の股関節:内旋段階で内旋中
この時の下半身の動き:

まずはフォローするの役割についてですが、ピッチングフォームによってボールを投げる際、良いフォームによって大きなエネルギーを生み出し、それをボールリリースに込めていくことにより球速はアップしていきます。しかしそのエネルギーはボールリリースで100%使い切れるわけではなく、ある程度のエネルギーが体内に残ってしまうんです。そしてそれが残り続けると身体への負荷になってしまうため、余ったエネルギーはフィッシュまでにすべて開放してしまいたいんです。その役割を担うのがフォロースルーです。

フォロースルーが良い形になっていない場合、身体に負荷が蓄積され続けて怪我のリスクを高めてしまいます。ではどんな形でフォロースルーを迎えたいかというと、まずボールリリース後のスローイングアームの肩関節は、だいたい顔の前あたりで最大内旋状態を迎えます。そのあとは肩関節はニュートラルに戻していきます。

気をつけの姿勢をして、リーディングアームをぶら下げて、その肘を同じ高さの腰の場所を確認してください。ボールリリースを終えて肩関節がニュートラルに戻ったあとは、その場所をパシッと音が鳴るくらい叩いてください。そして叩いた後は、まるでボールが跳ね返っていくような感じで手を顔付近まで弾き戻していきます。

ピッチングでもバッティングでも、フォロースルーが深くなればなるほどボールリリースやインパクトを強くすることができます。つまりフォロースルーが深くなればなるほど球速がアップするということです。その深いフォロースルーが、上で確認した場所をパシッと叩いて手が顔付近まで戻っていくフォロースルーです。

速球派投手たちの腰にできるアザは球速アップの秘訣のひとつ

プロ野球の速球派投手たちの多くは、この腰あたりに叩いた際にできた軽いアザがあります。もちろん痛みができるようなアザではなく、ちょっと青くなっているなぁ、という程度のアザです。この場所をパシッと叩いていくことにより、必然的にフォロースルーが深くなり、ボールリリースに込められるエネルギーを大きくすることができます。

しかし叩く場所には注意してください。上で確認した場所よりも低いところを叩いてしまうと肘は下がりやすくなり、逆に背中の高さを叩いてしまうと肘が上がりやすくなります。投球時の肘は下がっていても上がっていても怪我をしやすくなり、球速もアップしなくなります。ここで確認した正しい場所を叩くことにより、逆算的に肘を良い高さにして投げられるようになりましょう。

そして腰をパシッと叩いて手を顔付近まで弾き戻していくこのフォロースルーですが、スローイングアームが力んでいる手投げの状態では作ることはできません。腕力に頼ってボールを投げてしまうとこのフォロースルーは作れず、根本的にリリース後の手が腰に届かなかったり、届いたとしても触るだけで弾き戻らなくなってしまいます。ちなみに手を顔付近まで戻す際、絶対に腕力を使って持ち上げないようにしてください。叩いた反動で跳ね返り、通って来た道をそのまま巻き戻っていく動作にする必要があります。

このフォロースルーを正しく行うことで体内に余ってしまった余分なエネルギーを上手く開放し、身体への負荷を軽減させられるだけではなく、同時に球速をアップさせることもできます。

フォロースルー フォロースルー フォロースルー フォロースルー フォロースルー フォロースルー

合わせ読みしてね!
球速アップにすごく効果的な下半身の具体的な動作改善方法

球速アップは筋トレする前にまずはフォームを見直せ!〜上半身編〜

球速アップを目指して筋トレを始める前に知っておいて欲しいこと

球速をアップさせるために上半身を一生懸命筋トレで鍛える投手も多いと思いますが、そのやり方は誤りです。上半身の筋肉は球速をアップさせる目的で鍛えるべきでないんです。高い技術を持つ一部のプロ投手をよく観察してみてください。身長180〜185cm、体重70〜80kg程度の体格のピッチャーでも150〜155km/hのストレートを投げています。つまり技術があれば、必要以上に筋トレをしなくても球速をアップさせることができるんです。

しかしその技術を得るためには下半身の安定感が必要となります。フリーフットからランディングさせた非軸足(ステップする脚の足部)は絶対的に固定されている必要があるわけですが、それを直接的・間接的に可能にしてくれるのが主に腸腰筋群、大腿二頭筋、内転筋群、腓腹筋・ヒラメ筋となります。例えば腓腹筋とヒラメ筋(ふくらはぎ)が弱い、もしくは使いこなせていないと、ランディング後に足首が背屈してしまい、上半身が突っ込みやすくなります。そして上半身が突っ込んでしまうとアクセラレーションの距離が短くなるため、当然球速がアップすることはありません。

このようなメカニズムを理解せずに、ただひたすら上半身の筋トレをしてしまうと、いつまで経っても根本的な球速アップを実現させることができなくなります。根本的な球速アップとはつまり、いま全力投球をしなければ出せない球速を、80%の力でも投げられるようになる、ということです。

筋トレに頼りすぎると初速と終速差の大きいストレートになってしまう

ちなみに上半身の筋力に頼った投げ方をしてしまうと、よほどレベルの高い技術を持っていない限りは初速と終速の差が大きくなり、すぐに失速するストレートになってしまいます。一方上半身の筋力に頼らず、フォームの技術によって投げられる速球は初速と終速差が小さくなり、例え球速が出ていなかったとしても簡単に空振りを取れるボールになります。

なおプロアマ問わず、ほとんどのスポーツ選手は平均的には鍛え上げた筋肉の3割程度しか使いこなせていないという科学的研究もあります。一方種目を問わず、トップクラスの選手たちはその割合が他の選手より高いこともよく知られています。ということは筋肉を強化することももちろん大切なのですが、それ以上に大切なのは鍛えた筋肉をしっかりと使いこなすということになります。

そして球速アップと筋トレを同時に考える場合、上述したように筋トレによって球速をアップさせようとはしないでください。動作改善により良いフォームで投げられるようになった結果球速がアップし、そのアップした球速の負荷に身体が耐えられるように筋トレをしてください。つまり筋トレは球速アップを目的とするのではなく、球速がアップした際のプロテクターを作るという意味合いで行うのが正しい考え方です。

球速アップのコツはテイクバックを作るタイミングにあり!

【テイクバック】
スローイングアームの肩:最大内旋状態(テイクバック)
リーディングアームの肩:最大内旋状態(エイミング
軸脚側股関節:外転(エッジング)
非軸脚側の股関節:最大外旋状態
この時の下半身の動き:ランディング

テイクバック

ピッチングにおける球速は、ボールを加速させる距離を長くすることによって球速をアップさせることが大切です。もちろんそのためには適切な下半身の使い方を身につけ、キネティックチェーンもしっかりと成り立っていることが前提になるわけですが、下半身の動きが良いフォームになっていたとしても、スローイングアームを加速させる距離が短ければ球速はアップしません。

じゃあどのように加速距離を延ばせばいいのかと言うと、今回は動作それぞれのタイミングをテーマにして解説してみたいと思います。平地でキャッチボールをする際、非軸足がランディングする瞬間、手に持ったボールはどこにありますか?多くの選手が頭と同じくらいの高さに来ていると思います。しかしこれでは加速距離が短くなるため、球速はあまりアップしません。

プロ野球で150km/h以上のストレートを投げている投手の腕を振る速度を計測しても、せいぜい100~110km/h程度なんです。つまりいくら一生懸命腕を強く速く振ろうとしても限度があり、それによってアップするのはせいぜい1〜2km/h程度です。しかしゆったりと動いているように見えても、加速距離が長いプロ野球の投手のボールは簡単に150km/hを超えていきます。ちなみにボールを加速させる動作のことをスポーツ科学ではアクセラレーションフェイズと呼びます。

テイクバックを作るタイミングを改善すれば筋トレをしなくても球速は上がる!

スローイングアームはランディングさせた非軸足をしっかり踏ん張った状態でしか、本当の意味で鋭く振ることはできません。踏ん張らずに腕を鋭く振ろうとしても手投げにしかなりませんし、土台が安定していなければ制球力も大幅に低下してしまいます。

球速をアップさせるためには、平地では非軸足をランディングさせた際に、スローイングアームがまだ下向きの正方形になっているのがベストです。この下向きの正方形がテイクバックになるわけですが、平地の場合は腕に力みがなければテイクバックをランディングの瞬間に作れるようになります。ちなみに傾斜があるマウンドの場合は、傾斜がある分ランディングではスローイングアームの前腕は水平まで上げてしまって大丈夫です。つまりコンキングを半分までは進めてもOKということです。

テイクバックをこのタイミングに揃えて作れるようになると、ボールをリリースするための加速距離を最大限伸ばすことができます。球速がなかなかアップしない選手は、だいたいこの加速距離が短くなってしまっているんです。もしくは上述したように、ランディングの瞬間にはもうすでにボールが頭の高さまで来てしまっている選手も多いと思います。まったく同じ筋肉量であっても、テイクバックを作るタイミングを改善できるだけでも球速をアップさせることが可能です。

とにかく腕をリラックスさせたいコックアップフェイズ

【コックアップフェイズ】
スローイングアームの肩:内旋段階で外旋中(アーリーコックアップ)〜ニュートラル〜外旋段階で外旋中(レイトコックアップ)
リーディングアームの肩:内旋段階で外旋中〜ニュートラル〜外旋段階で外旋中(スクロール開始)
軸脚側股関節:内旋段階で内旋中
非軸脚側の股関節:外旋段階で内旋中〜ニュートラル〜内旋段階で内旋中
この時の下半身の動き:ターンバック過程

テイクバックを作った後はコックアップフェイズ(=コッキングフェイズ)に入っていきます。コックアップとは、テイクバックとトップポジションの間の動作のことです。コックアップフェイズで肘が90°以上に伸びてしまっていると肩痛のリスクが高まるため、まずはコックアップが肘が90°になった状態で行われていることが重要です。

球速をアップさせるためには、アクセラレーションフェイズの前段階であるコックアップフェイズで、サイレントピリオドを発生させることがポイントです。サイレントピリオドとは、筋肉の活動を限りなく0に近づけた状態のことで、平たく言うと脱力するという意味です。人間の体は鋭く速く動かしたい直前で脱力しておくことにより、加速させたいポイントで最大限加速させられるようになっています。

逆にコックアップフェイズを腕力などに頼って、持ち上げるような動作にしてしまうと、アクセラレーションフェイズで最速まで加速させることができなくなってしまいます。これはピッチングでもバッティングでも共通です。バッティングの場合はテイクバックに入っていく動作で両腕がしっかりとリラックスできていると、その直後に行うバットスウィングを最速に持っていけるようになります。

コックアップは持ち上げるのではなく、相対的に上げていくことがポイント

球速を上げやすいコックアップフェイズの考え方としては、スローイングアームを持ち上げると考えるのではなく、軸脚側股関節を外転させることによって「く」の字を作り、その動作によって重心を下げていき、相対的にボールを握った手部が挙上していく動作にできるのが理想的です。この動作ができるようになると、肘も下がりにくくなります。

そしてコックアップフェイズでのボールの軌道なのですが、肩甲骨をグイッと入れて肘を背中側に出し、ボールを体側に隠したままエレベーターのように真上に上げていってください。この時肩甲骨を使わずに、肩関節だけでコックアップさせてしまうとボールがバッターから丸見えになり、仮に速いボールを投げられたとしても簡単に打たれてしまいます。

怪我せずに球速がアップするのは内旋型ではなく外旋型トップポジション

【トップポジション】
スローイングアームの肩:最大外旋状態(トップポジション)
リーディングアームの肩:最大外旋状態(スクロール完成)
軸脚側股関節:ほぼニュートラル
非軸脚側の股関節:ほぼニュートラル
この時の下半身の動き:ターンバック過程

トップポジションは投球フォームの中では最も重要です。考え方としては、トップポジション以前の動作は良いトップポジションを作るための動作で、トップポジション後の動作は良い形で作ったトップポジションを使っていく動作となります。つまり投球フォームはトップポジションを境にして前後半に分けて考えます。

球速をアップさせるためにはとにかくトップポジションを正しい形で作っていくことが重要なのですが、しかし残念ながら少年野球チームや野球部の99.9%で、内旋型トップポジションという間違った形のトップポジションを教えてしまっています。内旋型トップポジションから投げてしまうと球速が上がりにくくなるだけではなく、野球肘になるリスクを大幅に上げてしまいます。本当に簡単に肘を痛めてしまう投げ方のため、内旋型トップポジションは絶対に避けたいところです。

内旋型トップポジション

スポーツ科学やスポーツ医学においては、スローイングアームの肩関節が最大外旋したところをトップポジションと呼びます。つまり内旋型トップポジションから投げるということは、理屈的にはトップポジションを作らずに投げるということになるんです。

肩関節を最大外旋させた良い形のトップポジションを作れると、手の甲が真上を向くようになります。そして肘も本来曲がる方向にしか曲がらなくなるため、肘を痛めるリスクがほぼなくなります。逆に内旋型トップポジションで投げてしまうと、アクセラレーションフェイズで肘の内側に外反ストレスがかかってしまい、内側側副靱帯がある肘の内側を痛める野球肘になってしまいます。

外旋型トップポジション

トップポジションでラギングバックを発生させると球速は格段とアップする!

外旋型トップポジションを作ることができると、ラギングバックを使って投げられるようになります。これはいわゆる「割れ」のことで、筋肉をゴムのように使うことができます。例えば両手で輪ゴムを持ってそのゴムを伸ばし、伸びたところで片手を離すとゴムは勢いよく飛んでいきますよね?これがラギングバックのイメージです。

ラギングバック

外旋型トップポジションにより筋肉を伸ばし、伸びた筋肉が縮んでいく勢いを使ってアクセラレーションフェイズでの腕の加速を補助していきます。ラギングバックを発生させられるのは外旋型トップポジションだけです。内旋型トップポジションからラギングバックを発生させようとすると肘の内側に強い外反ストレスがかかって肘を痛めてしまいます。

良いピッチャーは腕がしなって見えますよね?でも当たり前ですが人間の肘はしなりません。そのため本当に腕をしならせようとすると肘を痛めてしまいます。肘がしなって見えるのは、外旋型トップポジションを作った瞬間の腕の形です。外旋型トップポジションを作ることができると、肘で描く矢印が投球方向を向き、まるで肘がしなっているように見えます。

この外旋型トップポジションを作るためには、テイクバックで肩関節を最大内旋させておく必要があります。人間の肩関節というのは、最大内旋させると外旋させやすくなり、最大外旋させると内旋させやすくなります。テイクバックで肩関節を最大内旋させることによって、コックアップフェイズで肩関節を外旋過程(肩関節が外旋方向に回り続けている状態)に入れていきます。すると肩関節が外旋し切り、最大外旋状態になった瞬間で球速がアップしやすい良い形のトップポジションを作れるようになります。

アクセラレーションで上手く加速できると球速はどんどん上がる!

【アクセラレーションフェイズ】
スローイングアームの肩:外旋段階で内旋中
リーディングアームの肩:最大外旋状態
軸脚側股関節:内旋段階で内旋中
非軸脚側の股関節:外旋段階で内旋中〜ニュートラル〜内旋段階で内旋中
この時の下半身の動き:ターンバック過程

アクセラレーションフェイズとはトップポジションとボールリリースの間のフェイズのことです。アクセラレーションとは加速という意味で、球速をアップさせるためにはアクセラレーションフェイズでどれだけ良い加速をできるかが鍵となります。ここで上手く加速できなければ球速は上がりませんし、上手く加速できれば体格に頼らずに球速を上げていくことができます。

球速は体格によってアップさせるものではありません。現にプロ野球選手の中にも、体重が60kg台であっても、身長が160cm台でも150km/h以上のストレートを投げられる投手たちが何人もいます。そしてこのように技術力で球速アップを実現している投手たちの球質は本当に素晴らしく、奪三振率も非常に高いのが特徴です。

アクセラレーションフェイズでの最大の注意点は、腕を正円を描くようには振らない、ということです。この投げ方をしてしまうとボールリリースのタイミングで手部が下に向かって動くようになります。ボールは捕手方向にほぼ水平にリリースしていきたいのに、手部が上から下に向かって動いでしまうと、腕の振りと実際の投球方向のベクトル(エネルギーが働く方向)が食い違ってしまい、仮に筋力を鍛えたとしてもあまり球速は上がらなくなります。上がったとしても初速と終速の差が大きくなり、打者からすると失速してくる打ちやすいボールになってしまいます。

腕は正円ではなく楕円で振ることで球速はアップする!

腕は必ず細長い楕円を描くように振ってください。すると腕を振る方向と投球方向のベクトルが一致し、ボールリリースを最大出力できた状態で迎えられるようになり、球速はみるみるアップしていきます。しかし注意点として、腕の動きだけで楕円を描こうとはしないでください。これをしてしまうと必ず肘が下がってしまうため球速が上がらないどころか、怪我もしやすくなります。

野球ではよく「縦振り」「横振り」という表現をしますが、球速をアップさせるためにはどちらか一方ではなく、縦振りも横振りも両方使っていくべきなんです。縦振りとは股関節を屈曲させ、右投手なら右胸を左太腿に近づけていく動作、左投手なら左胸を右太腿に近づけていく動作のことです。そして横振りとは非軸脚側の股関節を内旋させることにより、上半身をリーディングアーム側に展開していく動作のことです。

下半身の動作が適切になり、縦振りと横振りを同時に使えるようになると、アクセラレーションフェイズで腕が振られていく軌道も自然と楕円に近づいていきます。また、この楕円を描く投げ方は内旋型トップポジションからは行えないため、トップポジションでしっかりと肩関節が外旋状態になっていることが必須動作となります。

目指したいのは球速以上に球質が良くなるボールリリース

【ボールリリース(ストレート)】
スローイングアームの肩:ニュートラル
リーディングアームの肩:最大外旋状態
軸脚側股関節:内旋段階で内旋中(45°程度)
非軸脚側の股関節:内旋段階で内旋中(45°程度)
この時の下半身の動き:ターンバック完了

ボールリリースの瞬間は、投球フォームの中で最も高い負荷がかかる瞬間です。つまりこのボールリリースの形が適切ではないと身体に大きな負荷がかかり、簡単に肩肘を痛めてしまいます。球速をアップさせるためには、まずストレートのボールリリースの瞬間は肩関節は内旋も外旋もしていないニュートラルな状態、なおかつ水平内転も水平外転もしていない状態で迎える必要があります。

ニュートラルな肩の状態でボールリリースを迎えられることにより、シュート回転もスライダー回転もしていない、きれいなバックスピンストレートを投げられるようになります。そしてこのバックスピンの回転軸が水平に近ければ近いほどマグナス力が大きく働き、球速が速くても遅くてもまったく失速しない伸びのあるストレートを投げられるようになります。

マグナス力がしっかり働いてくると初速と終速差がなくなり、このように失速しないストレートになっていきます。このようなボールを「球質が良い」と表現します。勝てる投手になるためには、この球質がとにかく重要です。球質が悪ければ初速160km/hでも簡単に打たれてしまいますし、球質が良ければ初速120km/hでもほとんど打たれなくなります。

ピッチャーとしてはどうしても球速ばかりに目が行きがちですが、しかし本当に重要なのは球速よりも球質です。ですので球速アップを目指す際は、必ず高い球質を維持した状態で球速をアップさせられるようにしていきましょう。

勝てる投手が重視しているのは実は球速ではなくて球質!

そして理想的なボールリリースの形としては、上述した肩関節の状態に加え、手の甲がほぼ真上を向いた状態に持っていくのが最善です。この形にすると人差し指と中指の付け根による弾性力を使えるようになり、ボールリリースに込められるエネルギーをさらに大きくすることができます。

しかし一般的に非常に多いのは、ボールリリースで手の甲が二塁ベースを向いてしまっている形です。この形で投げてしまうと弾性力を使えなくなり、ボールの上に指で蓋をすることもできなくなるため、投げたボールがすっぽ抜けやすくなります。そしてすっぽ抜けることが増えると今度は手首を掌屈させる動作が無意識のうちに入ってきてしまいます。しかし手首を曲げながらリリースを迎えてしまうとボールの回転数は大幅に低下するため、球質を上げることも物理的に不可能になってしまいます。

球質も球速もアップさせるためには、手首は曲げずに真っ直ぐ立てたまま使い、縦振り+横振りで手の甲がほぼ上を向いた状態でリリースを迎えられるようになりましょう。この良い形ができるようになるとボールリリースの瞬間、右投手なら胸が一塁ベンチ、左投手なら胸が三塁ベンチを向くようになります。そしてこの形になることでエクステンション(ピッチャーズプレートからボールリリースまでの距離のこと)が長くなり、リリースポイントも最大限打者に近づけることができ、打者を簡単に差し込めるようになります。

アメリカにトム・ハウスという名コーチがいるのですが、彼は以前エクステンションに関する研究を行いました。その結果、防御率が良い投手たちのほとんどはエクステンションが長く、逆に球速が速くても防御率が悪い投手たちはエクステンションが短いという特徴がハッキリ出たそうです。このことでも重要なのはスピードガンに表示される数字ではなく、球質の良し悪しだということがよく分かりますね。

球速をアップさせるためにフォロースルーで作りたい腰のアザ

【フォロースルー】
スローイングアームの肩:内旋段階で内旋中
リーディングアームの肩:最大外旋状態
軸脚側股関節:内旋段階で内旋中
非軸脚側の股関節:内旋段階で内旋中

まずはフォローするの役割についてですが、ピッチングフォームによってボールを投げる際、良いフォームによって大きなエネルギーを生み出し、それをボールリリースに込めていくことにより球速はアップしていきます。しかしそのエネルギーはボールリリースで100%使い切れるわけではなく、ある程度のエネルギーが体内に残ってしまうんです。そしてそれが残り続けると身体への負荷になってしまうため、余ったエネルギーはフィッシュまでにすべて開放してしまいたいんです。その役割を担うのがフォロースルーです。

フォロースルーが良い形になっていない場合、身体に負荷が蓄積され続けて怪我のリスクを高めてしまいます。ではどんな形でフォロースルーを迎えたいかというと、まずボールリリース後のスローイングアームの肩関節は、だいたい顔の前あたりで最大内旋状態を迎えます。そのあとは肩関節はニュートラルに戻していきます。

気をつけの姿勢をして、リーディングアームをぶら下げて、その肘を同じ高さの腰の場所を確認してください。ボールリリースを終えて肩関節がニュートラルに戻ったあとは、その場所をパシッと音が鳴るくらい叩いてください。そして叩いた後は、まるでボールが跳ね返っていくような感じで手を顔付近まで弾き戻していきます。

ピッチングでもバッティングでも、フォロースルーが深くなればなるほどボールリリースやインパクトを強くすることができます。つまりフォロースルーが深くなればなるほど球速がアップするということです。その深いフォロースルーが、上で確認した場所をパシッと叩いて手が顔付近まで戻っていくフォロースルーです。

速球派投手たちの腰にできるアザは球速アップの秘訣のひとつ

プロ野球の速球派投手たちの多くは、この腰あたりに叩いた際にできた軽いアザがあります。もちろん痛みができるようなアザではなく、ちょっと青くなっているなぁ、という程度のアザです。この場所をパシッと叩いていくことにより、必然的にフォロースルーが深くなり、ボールリリースに込められるエネルギーを大きくすることができます。

しかし叩く場所には注意してください。上で確認した場所よりも低いところを叩いてしまうと肘は下がりやすくなり、逆に背中の高さを叩いてしまうと肘が上がりやすくなります。投球時の肘は下がっていても上がっていても怪我をしやすくなり、球速もアップしなくなります。ここで確認した正しい場所を叩くことにより、逆算的に肘を良い高さにして投げられるようになりましょう。

そして腰をパシッと叩いて手を顔付近まで弾き戻していくこのフォロースルーですが、スローイングアームが力んでいる手投げの状態では作ることはできません。腕力に頼ってボールを投げてしまうとこのフォロースルーは作れず、根本的にリリース後の手が腰に届かなかったり、届いたとしても触るだけで弾き戻らなくなってしまいます。ちなみに手を顔付近まで戻す際、絶対に腕力を使って持ち上げないようにしてください。叩いた反動で跳ね返り、通って来た道をそのまま巻き戻っていく動作にする必要があります。

このフォロースルーを正しく行うことで体内に余ってしまった余分なエネルギーを上手く開放し、身体への負荷を軽減させられるだけではなく、同時に球速をアップさせることもできます。

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合わせ読みしてね!
球速アップにすごく効果的な下半身の具体的な動作改善方法

オーバースローは速いボールを投げるための投げ方ではない?!

オーバースロー(オーバーハンドスロー)の特徴を挙げるとすれば、速いボールを投げるための投げ方ではない、という点です。オーバースローのメリットは、より垂直に近いキレイなバックスピンをかけやすくなるという点です。もし速いボールを投げられるフォームを模索されているようでしたら、スリークォーター、ロースリークォーター、サイドハンドスローがベストだと思います。

ただし、股関節を上手に使えるようになるとオーバースロー以外の投げ方でもキレイなバックスピンストレートを投げられるようになります。もちろんサイドスローであっても。日本の少年野球や野球部の指導では、スローイングアームの使い方を教わる機会は多いと思うのですが、股関節の使い方をしっかりと教わることができる機会は少ないのではないでしょうか。しかしスポーツでは股関節こそが人間の体の中にある200個くらいの関節の中で、最も重要な関節なんです。

まずは下の写真をご覧になってみてください。これは正しいオーバースローの体の角度を示した写真です。

正しいオーバースローの形

右肘、右肩、左肩の三点が一直線になっていることがおわかりいただけると思います。これが正しいオーバースローの形です。厳密に言うと正しくはないのですが(後述します)、上腕と背骨が直角の関係になっています。この形が肘が下がってもいないし、上がり過ぎてもいない唯一の正しい形です。

そして左股関節を外転(振り子のように真横に脚を上げていくような股関節の動かし方)によって背骨がリーディングアーム側に傾き、その結果腕が上がっていきます。注意点としては、腰を横に反らすようにして軸を傾けてはいけない、という点です。脇腹というのは筋肉が非常に少ない部位ですので、それをやってしまうとあっという間に脇腹を痛めてしまいます。そして脇腹痛は癖になるので要注意です。ですのであくまでも、股関節を外転させることによって軸(だいたい背骨付近)をリーディングアーム側に傾けていってください。

オーバースローのメリットはバックスピンを垂直に近づけられること

少し上述した通り、オーバースローのメリットはストレートのバックスピンをより垂直に近づけやすくなることです。その結果マグナス力が大きくなり、ホップ要素となる揚力が増え、球速に関わらず伸びのある失速しないストレートを投げられるようになります。

例えばメジャーリーグやホークスで活躍する和田毅投手の球速は決して速くはありません。しかし理に適った適切なオーバースローで投げているためにバックスピンの質が非常に良く、140km/h未満のストレートでも強打者から空振りを取ることができます。ちなみに和田投手は、僕のようなパーソナルコーチのアドバイスを受けながら、そのような理に適った投球フォームを作り上げた選手です。

股関節が硬い選手はオーバースローは避けた方がいい?!

オーバースローのメリットを最大限得ていくために重要になってくるのは股関節の柔軟性と強さです。シーテッドV(座位開脚前屈)というストレッチングをしてみてください。座って膝を伸ばして、爪先は真上に向けた状態で、両脚を何度くらい広げることができますか?もちろんマリーンズの佐々木朗希投手のように180°広げられるのがスポーツ選手の理想です。

この時股関節が硬くて、両脚の広がりが150°に満たないような選手はオーバースローは避けた方が無難です。上述したように、オーバースローは股関節の外転(厳密には水平外転に近い動き)によって軸をリーディングアーム側に大きく傾けて腕を上げていく投げ方です。ですので股関節が硬かったり弱かったりすると、股関節を使って軸を傾けることができなくなり、その結果スローイングアームを上げることによってオーバースローで投げるようになってしまいます。しかしその投げ方ではあっという間に肩を痛めてしまいます。 overhand2.png

上の写真が間違ったオーバースローの形です。肘、右肩、左肩が一直線にはなっておらず、両肩を結んだ線分の延長線上よりも高い位置に右肘があります。肘が赤い線よりも上にある状態は肘が上がり過ぎているという形で、これも肘が下がっているのと同様に肩肘を怪我するリスクを高めてしまいます。

股関節が硬いと上の写真のように股関節を使えず、軸が立ってしまっている状態で、腕だけを上に上げてオーバースローで投げようとしてしまうんです。「もっと上から投げろ!」という指導をされてしまう小中学生に非常に多いパターンです。このように三点が一直線になっていない状態、いわゆる「0ポジション」になっていない状態では腕を鋭く振ることはできないため、例えばバックスピンを垂直に近づけられたとしても、スピンを増やすことはできないため、空振りを取れるようにはなりません。

0ポジションって一体なに?!

ここで0ポジションについて簡単に説明をしておきたいと思います。0ポジションとは一般的には、肩関節がどの方向にも曲がってはおらず、肩関節にあるローテーターカフ(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という4つのインナーマッスルの総称)が伸ばされていない状態のことを言います。

ボールをリリースする瞬間、体には最も大きな負荷がかかるわけですが、そのボールリリース前後で0ポジションになっていることで野球肩を防ぐことができます。そして10年前までは、0ポジションは肩線分の延長線上にキレイに肘が乗っている状態のことだと言われていました。しかし近年の研究ではそうではなく、実は肘は僅かに下がり、肩関節は僅かに水平内転している状態で0ポジションになるということがわかってきています。ただしそれでも、体の外から見たら上述した三点は一直線に見えますので、あえて肘を下げるようなことはしないでください。

また、これも体の外から見てわかることではないのですが、0ポジションは人によって少しずつ形が違うということも近年わかり始めています。ただし体に色々とセンサーをつけて動作を調べたり、CTスキャン等を使わなければ調べることはできませんので、僕のようなプロコーチではない限り、あくまでもひとつの知識として覚えておく程度で良いと思います。

オーバースローの投げ方を確認しておこう!

オーバースローは股関節を使い、軸をリーディングアーム側に傾けて腕を上げる投げ方だと上述したわけですが、この説明だけでは正しいオーバースローを身につけることはできません。この軸を傾けていく作業は、リーディングアームを使って行います。つまりグラブをはめた方の腕ですね。リーディングアームは主に「エイミング」と「スクロール」というモーションを作っていくのですが、このスクロールの引っ張りによって軸を傾けていく必要があります。

これが例えばサイドスローの場合、リーディングアームは真横(水平方向)に引っ張ってしまって良いと思います。しかしオーバースローは、右投手の場合であれば右腕を右上に上げていきます。そのために軸を左側に傾けるわけですが、それを可能にするためには左腕を左下に向かってスクロール(左腕を巻き取った上で引っ張る動作)していく必要があります。

軸をリーディングアームを使って傾けることができないと、上腕と軸の直角を維持したまま投げることが難しくなるため、肘が下がったり上がったりしてしまいます。リーディングアームとは「投球動作を牽引する腕」のことです。スローイングアームを上げてオーバースローで投げていくためには、どれだけ強くリーディングアームを使えるかが鍵になってきます。

そしてリーディングアームを力強く使って股関節を動かしていくためには、ステップして踏み出していった足部は絶対に浮いたり回ったりしてしまってはダメです。この土台が不安定だと股関節は絶対に使えなくなりますので、下半身の力を股関節を通して上半身に伝えられなくなり、手投げをせざるを得なくなります。

ピッチングの軸は体の外に飛び出す?!

さて、先ほど「軸(だいたい背骨付近)」と書いたわけですが、実はこれは厳密ではありません。なので「だいたい」と書きました。確かに体軸という意味では背骨は常に軸となるわけですが、しかしピッチングモーションにおける軸は背骨とは重ねないことが最良です。詳しくはまた別のページで書くことにするとして、簡単な説明だけをしておくと、踏み出した足をしっかりと踏ん張ってリーディングアームで股関節を動かせるようになると、ボールを投げる際の運動軸は、スローイングアーム側の脇腹の外側(体の外側)に飛び出していきます。

運動軸が体の外に飛び出す形がピッチングやバッティングでは最高の形で、これができるようになると遠心力ではなく、求心力を使ってボールを投げられるようになります。その結果腕が遠回りしなくなり制球が安定し、バックスピンを増やせるようになります。さらには遠心力が小さくなればなるほどローテーターカフへの負荷は小さくなるため、野球肩も防ぎやすくなります。

しかし日本の少年野球ではこのようなバイオメカニクスをまったく知らない方々が「もっと腕を大きく使って投げなさい」と間違った指導を今なお続けてしまっているのが現状です。もちろんボランティアコーチに、僕らプロコーチのような勉強量を求めることはできないわけですが、間違ったことを教えてしまうよりは、最初からまったく教えない方が子どもたちは良い投げ方を覚えるケースが多くなります。

大きく使うのは上半身ではなく脚!

大きく使うのは腕ではなく脚です。右投手ならまず左膝が胸に付くくらい脚を高く上げて、そしてボールリリース後は右靴が頭よりも高くなるくらい軸脚を高く振り上げていきます。そしてこの軸脚の振り上げは、オーバースローの腕の振りをさらにサポートしてくれるため、腕を力むことなくスローイングアームを鋭く振りやすくなります。

逆に脚の使い方が小さかったり弱かったりすると、上半身の力を使って投げざるを得なくなります。脚一本の体全体に対する割合は一般的には16%です。つまり両脚合わせると、実に体の3分の1が脚なんです。その脚をしっかり使うことができないということは、体の3分の1を使わずに投げるということになります。そして特にオーバースローでは脚を使わないと肩関節の内外転が大きくなりやすく、ローテーターカフにかかる負担が大きくなり、まだ野球を始めたばかりの小学生なのに肩を痛めてしまうというケースも多くなります。

さて、運動軸が体の外に飛び出すのがベストだと書いたわけですが、そこまで良い投げ方ができなかったとしても、背骨は軸としては使わないでください。ボールを投げる時の軸は、右投げの場合は右肩と左股関節を結んだライン、左投げの場合は左肩と右股関節を結んだラインを運動軸として使っていきます。

背骨を運動軸として使おうとするとかなり高い確率で肘が下がるようになります。と言うよりは、肘が上がる前に投げざるを得なくなる形になってしまいます。ですので軸は、確かにだいたい背骨とはなるのですが、でも実際には背骨は運動軸としては使わず、肩と股関節を結んだラインを軸にし、リーディングアームでその軸をスピンさせていく、という意識で投げるようにしてください。

オーバースローに合う変化球

オーバースローはより高いところからリリースする投げ方ですので、やはり縦の変化球が投げやすくなります。フォークボールやスプリッターはもちろんのこと、ドロップ(縦に大きく割れるカーブ)やチェンジアップが投げやすくなります。あとはスピンを活かすと言う意味では、ツーシームで握りを少しずつ変えることによって小さく曲がるシュートやスライダーを投げ分けるのも良いと思います。

逆に、投げられないというわけではないのですが、一般的なスライダー系の変化球は投げにくいと思います。あえて抜くように投げるドロップとは異なり、抜けることは避けたいスライダーやタイトカーブ、スラーブといった球種は、純粋なオーバースローだと少し投げにくくなります。

オーバースローのもっともオーソドックスなコンビネーションはストレート、ドロップ、フォークボールの組み合わせだと思います。ここにさらにチェンジアップが加われば長いイニングも投げやすくなります。変化球が3つあれば、1つは後半戦のために隠し持っておくことができますからね。自分で自分をリリーフするというイメージで、前後半で配球を変えていけるようになり、二巡目三巡目になっても打者に的を絞らせないピッチングができるようになります。

ホップするような伸びのある高めのストレートを武器にできるのがオーバースローだと考えると、やはり低めにストンと落ちていくフォークボールが非常に大きな武器になっていきます。ピッチングの基本は対角線を上手く使うことです。内角高めと外角低め、内角低めと外角高め、もしくは単純に高めと低め、外角と内角、これらの対角線を上手く使う配球をしていけると、バッターはボールに対して目を鳴らすことがなかなかできなくなります。

ボールの下を空振りするような伸びのあるストレートを活かすためには、やはりフォークボールをマスターすることが非常に効果的です。ストレートとフォークボールで、ストライクゾーンの上下をフルに使う、ということです。ただ、もちろん実際にはフォークボールはストライクゾーンからボールゾーンに落としていくわけですが。

オーバースローのフォームに関するまとめ

とにかくオーバースローで投げる場合、股関節の柔軟性と強さが大きく影響します。現時点で股関節がアスリートレベルで柔らかくはない選手は、オーバースローは避けた方が無難です。股関節の外転が小さくて済むスリークォーターやロースリークォーターで投げた方が、より自分自身のコンディションに合った体の使い方で投げられると思います。

ですが股関節のコンディションが良くて、スピードガンの球速は気にしないけど、空振りを取れるピッチャーになりたいという場合は、オーバースローに挑戦するメリットは大きいと思います。自分の体の状態、そして目指したい投手像を踏まえながら、オーバースローで投げるのか、他の投げ方で投げるのかを決めていくのが良いと思います。

オーバースローは他の投げ方以上に体の強さとしなやかさが求められる投げ方のため、挑戦するのであれば柔軟性が高いということが条件になってきますが、しかしオーバースローを正しくマスターすることができると、それほど速くないボールでも空振りを取れるようになります。ただし、習熟度の低いオーバースローだと遠心力が大きくなり、肩肘への負荷が大きくなってしまいますので、内旋型トップポジションでしか投げられない選手は柔軟性があってもオーバースローは避けた方が無難かもしれませんね。オーバースローに挑戦する際は、このような点を踏まえながら挑戦されると良いと思います。

オーバースローは速いボールを投げるための投げ方ではない?!

オーバースロー(オーバーハンドスロー)の特徴を挙げるとすれば、速いボールを投げるための投げ方ではない、という点です。オーバースローのメリットは、より垂直に近いキレイなバックスピンをかけやすくなるという点です。もし速いボールを投げられるフォームを模索されているようでしたら、スリークォーター、ロースリークォーター、サイドハンドスローがベストだと思います。

ただし、股関節を上手に使えるようになるとオーバースロー以外の投げ方でもキレイなバックスピンストレートを投げられるようになります。もちろんサイドスローであっても。日本の少年野球や野球部の指導では、スローイングアームの使い方を教わる機会は多いと思うのですが、股関節の使い方をしっかりと教わることができる機会は少ないのではないでしょうか。しかしスポーツでは股関節こそが人間の体の中にある200個くらいの関節の中で、最も重要な関節なんです。

まずは下の写真をご覧になってみてください。これは正しいオーバースローの体の角度を示した写真です。

正しいオーバースローの形

右肘、右肩、左肩の三点が一直線になっていることがおわかりいただけると思います。これが正しいオーバースローの形です。厳密に言うと正しくはないのですが(後述します)、上腕と背骨が直角の関係になっています。この形が肘が下がってもいないし、上がり過ぎてもいない唯一の正しい形です。

そして左股関節を外転(振り子のように真横に脚を上げていくような股関節の動かし方)によって背骨がリーディングアーム側に傾き、その結果腕が上がっていきます。注意点としては、腰を横に反らすようにして軸を傾けてはいけない、という点です。脇腹というのは筋肉が非常に少ない部位ですので、それをやってしまうとあっという間に脇腹を痛めてしまいます。そして脇腹痛は癖になるので要注意です。ですのであくまでも、股関節を外転させることによって軸(だいたい背骨付近)をリーディングアーム側に傾けていってください。

オーバースローのメリットはバックスピンを垂直に近づけられること

少し上述した通り、オーバースローのメリットはストレートのバックスピンをより垂直に近づけやすくなることです。その結果マグナス力が大きくなり、ホップ要素となる揚力が増え、球速に関わらず伸びのある失速しないストレートを投げられるようになります。

例えばメジャーリーグやホークスで活躍する和田毅投手の球速は決して速くはありません。しかし理に適った適切なオーバースローで投げているためにバックスピンの質が非常に良く、140km/h未満のストレートでも強打者から空振りを取ることができます。ちなみに和田投手は、僕のようなパーソナルコーチのアドバイスを受けながら、そのような理に適った投球フォームを作り上げた選手です。

股関節が硬い選手はオーバースローは避けた方がいい?!

オーバースローのメリットを最大限得ていくために重要になってくるのは股関節の柔軟性と強さです。シーテッドV(座位開脚前屈)というストレッチングをしてみてください。座って膝を伸ばして、爪先は真上に向けた状態で、両脚を何度くらい広げることができますか?もちろんマリーンズの佐々木朗希投手のように180°広げられるのがスポーツ選手の理想です。

この時股関節が硬くて、両脚の広がりが150°に満たないような選手はオーバースローは避けた方が無難です。上述したように、オーバースローは股関節の外転(厳密には水平外転に近い動き)によって軸をリーディングアーム側に大きく傾けて腕を上げていく投げ方です。ですので股関節が硬かったり弱かったりすると、股関節を使って軸を傾けることができなくなり、その結果スローイングアームを上げることによってオーバースローで投げるようになってしまいます。しかしその投げ方ではあっという間に肩を痛めてしまいます。 overhand2.png

上の写真が間違ったオーバースローの形です。肘、右肩、左肩が一直線にはなっておらず、両肩を結んだ線分の延長線上よりも高い位置に右肘があります。肘が赤い線よりも上にある状態は肘が上がり過ぎているという形で、これも肘が下がっているのと同様に肩肘を怪我するリスクを高めてしまいます。

股関節が硬いと上の写真のように股関節を使えず、軸が立ってしまっている状態で、腕だけを上に上げてオーバースローで投げようとしてしまうんです。「もっと上から投げろ!」という指導をされてしまう小中学生に非常に多いパターンです。このように三点が一直線になっていない状態、いわゆる「0ポジション」になっていない状態では腕を鋭く振ることはできないため、例えばバックスピンを垂直に近づけられたとしても、スピンを増やすことはできないため、空振りを取れるようにはなりません。

0ポジションって一体なに?!

ここで0ポジションについて簡単に説明をしておきたいと思います。0ポジションとは一般的には、肩関節がどの方向にも曲がってはおらず、肩関節にあるローテーターカフ(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という4つのインナーマッスルの総称)が伸ばされていない状態のことを言います。

ボールをリリースする瞬間、体には最も大きな負荷がかかるわけですが、そのボールリリース前後で0ポジションになっていることで野球肩を防ぐことができます。そして10年前までは、0ポジションは肩線分の延長線上にキレイに肘が乗っている状態のことだと言われていました。しかし近年の研究ではそうではなく、実は肘は僅かに下がり、肩関節は僅かに水平内転している状態で0ポジションになるということがわかってきています。ただしそれでも、体の外から見たら上述した三点は一直線に見えますので、あえて肘を下げるようなことはしないでください。

また、これも体の外から見てわかることではないのですが、0ポジションは人によって少しずつ形が違うということも近年わかり始めています。ただし体に色々とセンサーをつけて動作を調べたり、CTスキャン等を使わなければ調べることはできませんので、僕のようなプロコーチではない限り、あくまでもひとつの知識として覚えておく程度で良いと思います。

オーバースローの投げ方を確認しておこう!

オーバースローは股関節を使い、軸をリーディングアーム側に傾けて腕を上げる投げ方だと上述したわけですが、この説明だけでは正しいオーバースローを身につけることはできません。この軸を傾けていく作業は、リーディングアームを使って行います。つまりグラブをはめた方の腕ですね。リーディングアームは主に「エイミング」と「スクロール」というモーションを作っていくのですが、このスクロールの引っ張りによって軸を傾けていく必要があります。

これが例えばサイドスローの場合、リーディングアームは真横(水平方向)に引っ張ってしまって良いと思います。しかしオーバースローは、右投手の場合であれば右腕を右上に上げていきます。そのために軸を左側に傾けるわけですが、それを可能にするためには左腕を左下に向かってスクロール(左腕を巻き取った上で引っ張る動作)していく必要があります。

軸をリーディングアームを使って傾けることができないと、上腕と軸の直角を維持したまま投げることが難しくなるため、肘が下がったり上がったりしてしまいます。リーディングアームとは「投球動作を牽引する腕」のことです。スローイングアームを上げてオーバースローで投げていくためには、どれだけ強くリーディングアームを使えるかが鍵になってきます。

そしてリーディングアームを力強く使って股関節を動かしていくためには、ステップして踏み出していった足部は絶対に浮いたり回ったりしてしまってはダメです。この土台が不安定だと股関節は絶対に使えなくなりますので、下半身の力を股関節を通して上半身に伝えられなくなり、手投げをせざるを得なくなります。

ピッチングの軸は体の外に飛び出す?!

さて、先ほど「軸(だいたい背骨付近)」と書いたわけですが、実はこれは厳密ではありません。なので「だいたい」と書きました。確かに体軸という意味では背骨は常に軸となるわけですが、しかしピッチングモーションにおける軸は背骨とは重ねないことが最良です。詳しくはまた別のページで書くことにするとして、簡単な説明だけをしておくと、踏み出した足をしっかりと踏ん張ってリーディングアームで股関節を動かせるようになると、ボールを投げる際の運動軸は、スローイングアーム側の脇腹の外側(体の外側)に飛び出していきます。

運動軸が体の外に飛び出す形がピッチングやバッティングでは最高の形で、これができるようになると遠心力ではなく、求心力を使ってボールを投げられるようになります。その結果腕が遠回りしなくなり制球が安定し、バックスピンを増やせるようになります。さらには遠心力が小さくなればなるほどローテーターカフへの負荷は小さくなるため、野球肩も防ぎやすくなります。

しかし日本の少年野球ではこのようなバイオメカニクスをまったく知らない方々が「もっと腕を大きく使って投げなさい」と間違った指導を今なお続けてしまっているのが現状です。もちろんボランティアコーチに、僕らプロコーチのような勉強量を求めることはできないわけですが、間違ったことを教えてしまうよりは、最初からまったく教えない方が子どもたちは良い投げ方を覚えるケースが多くなります。

大きく使うのは上半身ではなく脚!

大きく使うのは腕ではなく脚です。右投手ならまず左膝が胸に付くくらい脚を高く上げて、そしてボールリリース後は右靴が頭よりも高くなるくらい軸脚を高く振り上げていきます。そしてこの軸脚の振り上げは、オーバースローの腕の振りをさらにサポートしてくれるため、腕を力むことなくスローイングアームを鋭く振りやすくなります。

逆に脚の使い方が小さかったり弱かったりすると、上半身の力を使って投げざるを得なくなります。脚一本の体全体に対する割合は一般的には16%です。つまり両脚合わせると、実に体の3分の1が脚なんです。その脚をしっかり使うことができないということは、体の3分の1を使わずに投げるということになります。そして特にオーバースローでは脚を使わないと肩関節の内外転が大きくなりやすく、ローテーターカフにかかる負担が大きくなり、まだ野球を始めたばかりの小学生なのに肩を痛めてしまうというケースも多くなります。

さて、運動軸が体の外に飛び出すのがベストだと書いたわけですが、そこまで良い投げ方ができなかったとしても、背骨は軸としては使わないでください。ボールを投げる時の軸は、右投げの場合は右肩と左股関節を結んだライン、左投げの場合は左肩と右股関節を結んだラインを運動軸として使っていきます。

背骨を運動軸として使おうとするとかなり高い確率で肘が下がるようになります。と言うよりは、肘が上がる前に投げざるを得なくなる形になってしまいます。ですので軸は、確かにだいたい背骨とはなるのですが、でも実際には背骨は運動軸としては使わず、肩と股関節を結んだラインを軸にし、リーディングアームでその軸をスピンさせていく、という意識で投げるようにしてください。

オーバースローに合う変化球

オーバースローはより高いところからリリースする投げ方ですので、やはり縦の変化球が投げやすくなります。フォークボールやスプリッターはもちろんのこと、ドロップ(縦に大きく割れるカーブ)やチェンジアップが投げやすくなります。あとはスピンを活かすと言う意味では、ツーシームで握りを少しずつ変えることによって小さく曲がるシュートやスライダーを投げ分けるのも良いと思います。

逆に、投げられないというわけではないのですが、一般的なスライダー系の変化球は投げにくいと思います。あえて抜くように投げるドロップとは異なり、抜けることは避けたいスライダーやタイトカーブ、スラーブといった球種は、純粋なオーバースローだと少し投げにくくなります。

オーバースローのもっともオーソドックスなコンビネーションはストレート、ドロップ、フォークボールの組み合わせだと思います。ここにさらにチェンジアップが加われば長いイニングも投げやすくなります。変化球が3つあれば、1つは後半戦のために隠し持っておくことができますからね。自分で自分をリリーフするというイメージで、前後半で配球を変えていけるようになり、二巡目三巡目になっても打者に的を絞らせないピッチングができるようになります。

ホップするような伸びのある高めのストレートを武器にできるのがオーバースローだと考えると、やはり低めにストンと落ちていくフォークボールが非常に大きな武器になっていきます。ピッチングの基本は対角線を上手く使うことです。内角高めと外角低め、内角低めと外角高め、もしくは単純に高めと低め、外角と内角、これらの対角線を上手く使う配球をしていけると、バッターはボールに対して目を鳴らすことがなかなかできなくなります。

ボールの下を空振りするような伸びのあるストレートを活かすためには、やはりフォークボールをマスターすることが非常に効果的です。ストレートとフォークボールで、ストライクゾーンの上下をフルに使う、ということです。ただ、もちろん実際にはフォークボールはストライクゾーンからボールゾーンに落としていくわけですが。

オーバースローのフォームに関するまとめ

とにかくオーバースローで投げる場合、股関節の柔軟性と強さが大きく影響します。現時点で股関節がアスリートレベルで柔らかくはない選手は、オーバースローは避けた方が無難です。股関節の外転が小さくて済むスリークォーターやロースリークォーターで投げた方が、より自分自身のコンディションに合った体の使い方で投げられると思います。

ですが股関節のコンディションが良くて、スピードガンの球速は気にしないけど、空振りを取れるピッチャーになりたいという場合は、オーバースローに挑戦するメリットは大きいと思います。自分の体の状態、そして目指したい投手像を踏まえながら、オーバースローで投げるのか、他の投げ方で投げるのかを決めていくのが良いと思います。

オーバースローは他の投げ方以上に体の強さとしなやかさが求められる投げ方のため、挑戦するのであれば柔軟性が高いということが条件になってきますが、しかしオーバースローを正しくマスターすることができると、それほど速くないボールでも空振りを取れるようになります。ただし、習熟度の低いオーバースローだと遠心力が大きくなり、肩肘への負荷が大きくなってしまいますので、内旋型トップポジションでしか投げられない選手は柔軟性があってもオーバースローは避けた方が無難かもしれませんね。オーバースローに挑戦する際は、このような点を踏まえながら挑戦されると良いと思います。

良い形のコッキングは、良いトップポジションを作るのに不可欠

今回のエース養成コラムでは、コッキングについて徹底解説していきたいと思います。コッキングとコックアップは同義語になりますが、今回のコラムではコッキングという呼び方で統一したいと思います。ですが、基本的にはどちらの呼び方でも通じますので、普段使い慣れている方の呼び方を、そのまま使っていただいて大丈夫だと思います。

コッキングというのは、テイクバックからトップポジションにかけてのフェイズのことです。テイクバックを作り、そこから肩関節を回しながら手部を頭の横まで上げていくわけですが、このフェイズのことをコッキングと言います。

投球モーションの中で最も重要なのはトップポジションです。トップポジションの良し悪しでボールの良し悪しが変わってくるわけですが、その良い形のトップポジションを作るのに不可欠なのが、良い形のコッキングなんです。トップポジション直前の動作であるコッキングの形が不適切になってしまうと、腕がしなって見える良い形のトップポジションを作ることが物理的に不可能になってしまいます。

よく見かける怪我をしやすいコッキング

コッキングには主に2種類の作り方があります。肩関節を内旋させながらのコッキングと、外旋させながらのコッキングです。怪我をしにくい良いコッキングは、肩関節を外旋させながら手部を上げていくコッキングです。この肩関節の回し方が逆になってしまうと、野球肩や野球肘の大きな原因になってしまうため、注意が必要です。それではまずは、少年野球の指導現場でよく見かける怪我をしやすいコッキングから見ていくことにしましょう。

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上の連続写真が、怪我をしやすいコッキングです。まず1枚目のテイクバッグで、肩関節が外旋していて、手のひらが自分の方を向いてしまっています。この形でスタートをしてしまうと、コッキングは内旋させながら作るしかなくなります。

そして肩関節を内旋させながらコッキングさせていくと、5枚目のように手のひらが外側を向いた形になってしまいます。トップポジションの理想の形は肩関節が外旋し切って、手の甲が上を向く形です。しかしこのように手のひらが外側を向いた形からでは、手の甲が上を向くトップポジションを作ることは不可能で、しなって見える腕の形から投げることもできなくなります。

勉強不足の大人に教え込まれてしまう怪我をしやすいコッキング

するとアクセラレーションで手のひらがずっと正面を向いたまま腕が加速される形になり、肘の内側に大きなストレスがかかり、内側側副靭帯(肘の内側)を痛めやすくなります。少年野球で上の5枚目の写真のような形を教えられてしまい、その結果数ヵ月後、数年後に肘を痛めてしまったというお子さんは多いのではないでしょうか?

プロ野球選手たちも、子どもの頃は同じように上の5枚目の写真のような形を指導者たちに教えられてしまっています。そのため良い形のトップポジションを作れているピッチャーというのは、実はプロ野球でも決して多くはないんです。そのためにプロ野球選手でも肩肘を痛めているピッチャーが多いですよね?

怪我をしにくく、球速も制球力もアップしやすいコッキング

では続いて、怪我をしにくい良い形のコッキングを見ていくことにしましょう。この形になると怪我をしにくくなるだけではなく、球速も制球力もアップしやすくなります。

cockingA1.png cockingA1.png cockingA1.png cockingA1.png cockingA1.png

1枚目の写真では、肩関節が内旋されて手のひらが内側を向いたテイクバックになっています(手のひらが二塁ベースを向いているとパーフェクト!)。テイクバックで肩関節が内旋されているからこそ、外旋させながらのコッキングを作っていくことができます。肩関節を外旋させながらコッキングしていくためには、スタート地点となるテイクバックで肩関節がしっかりと内旋されている必要があります。

肩関節が外旋されながら手部が頭の横まで上がっていくと、5枚目の写真では手のひらが外側ではなく、頭の方を向いているのがおわかりいただけると思います。この形を作ることができると、ここからさらに肩関節を外旋させていき、手の甲が上を向いていく良い形のトップポジションを作れるようになります。

良い形のコッキングは球速も制球力もアップする!

そして良い形のトップポジションを作ることができると、ラギングバックというモーションが発生し、さらにアクセラレーションの距離も長くなるため球速がアップします。さらに腕の振り方が横長の細長い楕円形になり、腕を振っていく方向と投げたい方向が一致するため、リリースが安定するようになり、制球力も良くなります。

これが楕円形ではなく、正円を描くように腕を振ってしまうとアクセラレーションが短くなり、球速はあまりアップしません。そして正円で腕を振ってしまうと投げたい方向と腕を振る方向がほとんど一致しないため、ボールは前に向けて投げたいのに、腕を下に向けて振り下ろしながらリリースを迎えなければならず、制球が不安定になります。

コッキングは前半後半に分けて考えよう

コッキングは前半後半に分けることができます。前半部分をアーリーコッキング、後半をレイトコッキングと呼びます。理想としては、アーリーコッキング0:レイトコッキング100という割合です。しかしこれはなかなか難しいため、少しでもこの割合に近づけていくというふうに考えてもらえば良いと思います。

アーリーコッキングというのは、フリーフットで振り上げた足(右投げながら左足、左投げなら右足)をランディング(着地)させる前に上げた分のコッキングで、レイトコッキングはランディングしたあとで上げた分のコッキングのことです。腕というのは、足をしっかり踏ん張った後で本当に鋭く振ることができます。つまりランディングして踏ん張ってからのコッキングの割合が多いほど、腕を鋭く振れる距離も長くなり、球速がアップしやすくなるというわけです。

例えば上の写真で考えていくと、3枚目の写真でランディングを迎えた場合、1〜2枚目がアーリーコッキング、4〜5枚目がレイトコッキングということになります。そして理想の形は、ランディングのタイミングで1枚目の腕の形になっていることです。この形は、腕力に頼った投げ方をしてしまうと絶対にできなくなります。下半身主導のキネティックチェーンを作り、スローイングアームは脱力されていないと、レイトコッキングの割合を増やすことはできません。

コックアップを良くさせるテイクバックでのサイレントピリオド

サイレントピリオドというスポーツ用語をご存知でしょうか?これは筋肉が脱力された状態のことです。テイクバックの瞬間にサイレントピリオドを発生させられると、手をグラヴの中から振り下ろしてきた勢いで肩関節を内旋させたテイクバックを作りやすくなり、その後のコッキングの動かし方も自然と良くなっていきます。

逆にテイクバックですでに力みが生じてしまっていると、下半身が踏ん張る前に上半身がどんどん先走るようになり、腕力に頼った投げ方しかできなくなります。するとトップポジションも内旋型になりやすく、肩肘を痛めるリスクが大幅に高まります。

コッキングで絶対にやってはいけないこととは?!

さて、コッキングでもうひとつだけ、本当に気をつけて欲しいことがあります。上の10枚の連続写真では、すべて肘が90°くらいに曲がっているのがおわかりいただけると思います。しかし中には、コッキングの最中に肘を真っ直ぐ伸ばしてしまうピッチャーもいます。しかしその動きは絶対にやらないでください。

コッキングの最中に肘を伸ばしてしまうと、肩関節に非常に大きなストレスがかかります。実はプロ野球選手の中にもコッキングで肘を伸ばし切る選手は何人もいるんです。特に制球力に乏しい速球派に多い傾向があります。僕が調べた限り、肘を伸ばすコッキングから投げていたプロ野球のピッチャーのほとんどが肩を怪我しています。

コッキングで肘を伸ばしてしまうと、肩関節の骨同士が擦れ合うような動きが生じてしまい、その動きによって筋を痛めてしまったり、炎症を起こしてしまいます。確かにコッキングで肘を伸ばすと、ほんの少しだけ球速をアップさせることができます。しかしビックリするほどの球速アップではありません。つまり肩痛のリスクを犯してまで取り組むほどの価値はないということです。

実際にコッキングで肘を伸ばして投げていたあるプロ野球選手に聞いてみると、やはり球速アップを目的に肘を伸ばして投げるようになったと話していました。僕がその選手とこの話をしたのは、その選手が肩を痛めて引退する直前だったのですが、もっと早くこの話を聞いていれば野球人生も変わっていたかもしれない、と苦笑しながら話していたのが印象的でした。

コッキングのまとめ

さて、コッキングに関して長々とお話ししてきたわけですが、とにかく重要なのは怪我のリスクを軽減させた上で、制球力アップと球速アップを目指すということです。多少球速がアップしたところで、怪我をしてしまっては意味がありません。肩や肘を怪我しないためにも、肩関節を外旋させながら、肘は90°に曲げたまま作るコッキングを目指して練習をしてください。

上述した通り、投球モーションの中で最も重要なのはトップポジションです。そのトップポジションの直前の動作となるコッキングは、トップポジションに対して非常に大きな影響を与えます。そこでしっかりと良い影響を与えていけるように、このコラムを参考にして良い形のコッキングを作れるように練習をしてみてください。もし間違った練習をしてしまわないか不安な方は、僕のオンラインレッスンを受けてみてください。毎日どなたにもわかりやすく丁寧にレッスンしていますので、ぜひ1回コースから始めてみてください。お待ちしています!

良い形のコッキングは、良いトップポジションを作るのに不可欠

今回のエース養成コラムでは、コッキングについて徹底解説していきたいと思います。コッキングとコックアップは同義語になりますが、今回のコラムではコッキングという呼び方で統一したいと思います。ですが、基本的にはどちらの呼び方でも通じますので、普段使い慣れている方の呼び方を、そのまま使っていただいて大丈夫だと思います。

コッキングというのは、テイクバックからトップポジションにかけてのフェイズのことです。テイクバックを作り、そこから肩関節を回しながら手部を頭の横まで上げていくわけですが、このフェイズのことをコッキングと言います。

投球モーションの中で最も重要なのはトップポジションです。トップポジションの良し悪しでボールの良し悪しが変わってくるわけですが、その良い形のトップポジションを作るのに不可欠なのが、良い形のコッキングなんです。トップポジション直前の動作であるコッキングの形が不適切になってしまうと、腕がしなって見える良い形のトップポジションを作ることが物理的に不可能になってしまいます。

よく見かける怪我をしやすいコッキング

コッキングには主に2種類の作り方があります。肩関節を内旋させながらのコッキングと、外旋させながらのコッキングです。怪我をしにくい良いコッキングは、肩関節を外旋させながら手部を上げていくコッキングです。この肩関節の回し方が逆になってしまうと、野球肩や野球肘の大きな原因になってしまうため、注意が必要です。それではまずは、少年野球の指導現場でよく見かける怪我をしやすいコッキングから見ていくことにしましょう。

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上の連続写真が、怪我をしやすいコッキングです。まず1枚目のテイクバッグで、肩関節が外旋していて、手のひらが自分の方を向いてしまっています。この形でスタートをしてしまうと、コッキングは内旋させながら作るしかなくなります。

そして肩関節を内旋させながらコッキングさせていくと、5枚目のように手のひらが外側を向いた形になってしまいます。トップポジションの理想の形は肩関節が外旋し切って、手の甲が上を向く形です。しかしこのように手のひらが外側を向いた形からでは、手の甲が上を向くトップポジションを作ることは不可能で、しなって見える腕の形から投げることもできなくなります。

勉強不足の大人に教え込まれてしまう怪我をしやすいコッキング

するとアクセラレーションで手のひらがずっと正面を向いたまま腕が加速される形になり、肘の内側に大きなストレスがかかり、内側側副靭帯(肘の内側)を痛めやすくなります。少年野球で上の5枚目の写真のような形を教えられてしまい、その結果数ヵ月後、数年後に肘を痛めてしまったというお子さんは多いのではないでしょうか?

プロ野球選手たちも、子どもの頃は同じように上の5枚目の写真のような形を指導者たちに教えられてしまっています。そのため良い形のトップポジションを作れているピッチャーというのは、実はプロ野球でも決して多くはないんです。そのためにプロ野球選手でも肩肘を痛めているピッチャーが多いですよね?

怪我をしにくく、球速も制球力もアップしやすいコッキング

では続いて、怪我をしにくい良い形のコッキングを見ていくことにしましょう。この形になると怪我をしにくくなるだけではなく、球速も制球力もアップしやすくなります。

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1枚目の写真では、肩関節が内旋されて手のひらが内側を向いたテイクバックになっています(手のひらが二塁ベースを向いているとパーフェクト!)。テイクバックで肩関節が内旋されているからこそ、外旋させながらのコッキングを作っていくことができます。肩関節を外旋させながらコッキングしていくためには、スタート地点となるテイクバックで肩関節がしっかりと内旋されている必要があります。

肩関節が外旋されながら手部が頭の横まで上がっていくと、5枚目の写真では手のひらが外側ではなく、頭の方を向いているのがおわかりいただけると思います。この形を作ることができると、ここからさらに肩関節を外旋させていき、手の甲が上を向いていく良い形のトップポジションを作れるようになります。

良い形のコッキングは球速も制球力もアップする!

そして良い形のトップポジションを作ることができると、ラギングバックというモーションが発生し、さらにアクセラレーションの距離も長くなるため球速がアップします。さらに腕の振り方が横長の細長い楕円形になり、腕を振っていく方向と投げたい方向が一致するため、リリースが安定するようになり、制球力も良くなります。

これが楕円形ではなく、正円を描くように腕を振ってしまうとアクセラレーションが短くなり、球速はあまりアップしません。そして正円で腕を振ってしまうと投げたい方向と腕を振る方向がほとんど一致しないため、ボールは前に向けて投げたいのに、腕を下に向けて振り下ろしながらリリースを迎えなければならず、制球が不安定になります。

コッキングは前半後半に分けて考えよう

コッキングは前半後半に分けることができます。前半部分をアーリーコッキング、後半をレイトコッキングと呼びます。理想としては、アーリーコッキング0:レイトコッキング100という割合です。しかしこれはなかなか難しいため、少しでもこの割合に近づけていくというふうに考えてもらえば良いと思います。

アーリーコッキングというのは、フリーフットで振り上げた足(右投げながら左足、左投げなら右足)をランディング(着地)させる前に上げた分のコッキングで、レイトコッキングはランディングしたあとで上げた分のコッキングのことです。腕というのは、足をしっかり踏ん張った後で本当に鋭く振ることができます。つまりランディングして踏ん張ってからのコッキングの割合が多いほど、腕を鋭く振れる距離も長くなり、球速がアップしやすくなるというわけです。

例えば上の写真で考えていくと、3枚目の写真でランディングを迎えた場合、1〜2枚目がアーリーコッキング、4〜5枚目がレイトコッキングということになります。そして理想の形は、ランディングのタイミングで1枚目の腕の形になっていることです。この形は、腕力に頼った投げ方をしてしまうと絶対にできなくなります。下半身主導のキネティックチェーンを作り、スローイングアームは脱力されていないと、レイトコッキングの割合を増やすことはできません。

コックアップを良くさせるテイクバックでのサイレントピリオド

サイレントピリオドというスポーツ用語をご存知でしょうか?これは筋肉が脱力された状態のことです。テイクバックの瞬間にサイレントピリオドを発生させられると、手をグラヴの中から振り下ろしてきた勢いで肩関節を内旋させたテイクバックを作りやすくなり、その後のコッキングの動かし方も自然と良くなっていきます。

逆にテイクバックですでに力みが生じてしまっていると、下半身が踏ん張る前に上半身がどんどん先走るようになり、腕力に頼った投げ方しかできなくなります。するとトップポジションも内旋型になりやすく、肩肘を痛めるリスクが大幅に高まります。

コッキングで絶対にやってはいけないこととは?!

さて、コッキングでもうひとつだけ、本当に気をつけて欲しいことがあります。上の10枚の連続写真では、すべて肘が90°くらいに曲がっているのがおわかりいただけると思います。しかし中には、コッキングの最中に肘を真っ直ぐ伸ばしてしまうピッチャーもいます。しかしその動きは絶対にやらないでください。

コッキングの最中に肘を伸ばしてしまうと、肩関節に非常に大きなストレスがかかります。実はプロ野球選手の中にもコッキングで肘を伸ばし切る選手は何人もいるんです。特に制球力に乏しい速球派に多い傾向があります。僕が調べた限り、肘を伸ばすコッキングから投げていたプロ野球のピッチャーのほとんどが肩を怪我しています。

コッキングで肘を伸ばしてしまうと、肩関節の骨同士が擦れ合うような動きが生じてしまい、その動きによって筋を痛めてしまったり、炎症を起こしてしまいます。確かにコッキングで肘を伸ばすと、ほんの少しだけ球速をアップさせることができます。しかしビックリするほどの球速アップではありません。つまり肩痛のリスクを犯してまで取り組むほどの価値はないということです。

実際にコッキングで肘を伸ばして投げていたあるプロ野球選手に聞いてみると、やはり球速アップを目的に肘を伸ばして投げるようになったと話していました。僕がその選手とこの話をしたのは、その選手が肩を痛めて引退する直前だったのですが、もっと早くこの話を聞いていれば野球人生も変わっていたかもしれない、と苦笑しながら話していたのが印象的でした。

コッキングのまとめ

さて、コッキングに関して長々とお話ししてきたわけですが、とにかく重要なのは怪我のリスクを軽減させた上で、制球力アップと球速アップを目指すということです。多少球速がアップしたところで、怪我をしてしまっては意味がありません。肩や肘を怪我しないためにも、肩関節を外旋させながら、肘は90°に曲げたまま作るコッキングを目指して練習をしてください。

上述した通り、投球モーションの中で最も重要なのはトップポジションです。そのトップポジションの直前の動作となるコッキングは、トップポジションに対して非常に大きな影響を与えます。そこでしっかりと良い影響を与えていけるように、このコラムを参考にして良い形のコッキングを作れるように練習をしてみてください。もし間違った練習をしてしまわないか不安な方は、僕のオンラインレッスンを受けてみてください。毎日どなたにもわかりやすく丁寧にレッスンしていますので、ぜひ1回コースから始めてみてください。お待ちしています!

あの超有名なジャイロボールは実は嘘だった?!

今回の投手育成コラムでは、ジャイロボールに関して徹底解説をしていきたいと思います。ですがその前に、プロフェッショナルコーチである僕自身のジャイロボールに対するスタンスをお伝えしておきたいと思います。僕は個人的にはジャイロボールに対しては肯定的なスタンスではありません。

だからといって「ジャイロボールの存在なんて嘘だ!」とは言いません。ジャイロボールは確かに存在しており、僕自信ジャイロ回転のボールを投げることができます。ではなぜ僕はジャイロボールに対し肯定的なスタンスを取っていないのか?!

その理由は、ジャイロ回転の豪速球を投げることができないからです。一時期松坂大輔投手がジャイロボールを投げていると噂されていましたが、あれはジャイロボールではなく、カットボールのすっぽ抜けがジャイロボールっぽくなっていただけです。

ちなみに松坂大輔投手のジャイロボールに関しては、アメリカのCNNという世界的に有名な報道番組でも特集されたことがあります。しかし番組内で紹介された試合映像の中で松坂投手が投げていたのはジャイロボールではありませんでした。松坂投手自身、ジャイロボールを意図して投げてはいないようです。ご本人的にもやはり、カットボールが抜けてジャイロ回転っぽくなっているという認識のようです。

また、茂野吾郎投手がジャイロ回転の豪速球を武器としていましたが、あれは作者の満田拓也先生も嘘だったと認めている通り、あくまでもファンタジーです。しかも茂野投手のジャイロ回転の方向は逆回りで、野球の物理学的にはありえないボールでした。

超一流のプロ野球選手でも投げられない高速ジャイロボール

僕は高速のジャイロボールに対しては目指すべきボールではないと考えています。しかしチェンジアップのような低速のボールであればジャイロ回転は有効だと考えています。ですのでジャイロボーラーを目指すのであれば、球速の遅いジャイロボールを投げる練習をすべきだと思います。

140km/h、150km/hを超えるようなジャイロボールは夢というか、まさに幻だと僕は考えています。詳しくは後述しますが、ジャイロボールの握り方で豪速球を投げることはできません。プロ野球にも数名、試合でジャイロボールを投げていたピッチャーがいましたが、彼らも球速が遅いジャイロボールを駆使していました。江夏豊投手もジャイロボーラーだったという噂もありますが、真相は謎です。

日本のプロ野球、そしてメジャーリーグには超一流レベルのピッチャーたちが大勢います。しかし誰一人「俺は150km/hのジャイロボールを武器にしている!」とは言っていません。これが答えではないでしょうか。超一流レベルのプロ選手でさえも、高速ジャイロボールは投げられないのです。

スローボールこそがジャイロボールの真骨頂!

ジャイロボールの回転

上の連続写真が右投手が投げたジャイロ回転のボールを再現したものです。空気抵抗の話に関しては『マグナス力を高めればホップする重いストレートを投げられる!』を読んでいただくとして、ジャイロ回転のボールにかかる空気抵抗は非常に小さくなります。そのため18.44m程度の距離であれば、100km/h程度のジャイロボールであってもほとんど失速も落下もせずにキャッチャーミットに収まっていきます。

100km/h程度のスローボールが飛んでくるのを打者が目にした際、打者はそのボールは落下しながら飛んでくると予測します。リリースされた高さから見ていくと、だいたい70〜80cmは落下してきます。しかしフォークボールのように突然落下するわけではなく、やや山なりの軌道で飛んできます。

100km/hの普通のバックスピンストレートの場合は70〜80cm落下してくるわけですが、これが100km/hのジャイロボールの場合、60〜70cm程度の落下になります。単純に考えるとその差はだいたい10cmとなり、約7.2cmのボール1個分以上の差になります。

つまり100km/h程度のジャイロボールを投げると、打者が予測するより10cm程度落下幅が小さくなるため、100km/hというスローボールでも打者はボールの下を空振りするようになる、というわけです。

ジャイロボールはアンダーハンドスローやサイドハンドスローの投手にオススメ!

松坂大輔投手はスリークォーター、茂野吾郎投手はオーバーハンドスローなわけですが、スリークォーターやオーバーハンドスローでジャイロボールを投げることは困難です。もちろん頑張れば投げることはできると思いますが、腕を上げて投げてしまうとアクセラレーションフェイズ(トップポジション〜ボールリリースにかけての加速期)にかかる遠心力によって、スライダーやカーブ以上にすっぽ抜けやすくなります。

しかしサイドハンドやアンダーハンドスローの場合、上方向にかかる遠心力が小さくなるため、後述するジャイロボールの握り方でもそれほどすっぽ抜ける心配はありません。

ジャイロボールを試合で有効活用するためには、ローサイドハンドスローやアンダーハンドスローで投げるのがベストです。例えば千葉ロッテマリーンズで活躍された渡辺俊介投手のように、地面すれすれの高さでリリースして、打者の顔の高さのキャッチャーミットにジャイロボールを収めていくと、打者はほとんど打てないと思います。

打者が、ピッチャーが投げたボールがどこに到達するのかを予測するのは、まだボールがホームプレートの10m以上手前にある時点です。その時点では地面すれすれからリリースされたボールは、まだ打者の膝や太腿程度の高さまでしか登ってきていません。打者はそれを見てバットを振り始めますので、そのボールがホームプレート上に来た時に胸や顔の高さまで登ってくると、バットはほとんど確実にボールの下を空振りするようになります。

ジャイロボールの場合、100km/h未満のストレートであって18.44m程度の距離であれば、ホームプレート上に来るまで地面すれすれのリリースポイントから登り続けてくれます。しかし普通のバックスピンストレートや、サイドスピン要素が入ったストレートの場合、一般的なボールの回転数ではマグナス力も弱くなり、渡辺俊介投手のように地面すれすれの高さから打者の顔の高さに投げようとしても、ホームプレートに到達する前に落下し始めてしまい、ただの遅い山なりのボールになり、簡単に打たれてしまいます。

僕は、茂野吾郎投手のようにバットをへし折るようなジャイロボールに対しては肯定的なスタンスは取っていません。しかし渡辺俊介投手のように、高低差を上手く利用した遅いジャイロボールに関しては大きな武器になり得ると考えています。

ジャイロボールを投げたいと強く考えている選手が多いのは、2001年に発売された『魔球の正体』という手塚一志コーチと姫野龍太郎教授の共著を手に取ったことがある草野球ではないでしょうか。ちなみに姫野教授はフェアレディZなどの人気車種の空力解析をされた先生です。

あとはリアルタイムで茂野吾郎投手の活躍を見てきた世代でしょうか。しかし上述したように茂野投手のジャイロボールは、新城童夢君のスノーミラージュボール同様のファンタジーです。ちびっ子が夢見て投げることを目指すことには大賛成ですが、中高生や大人が現実的に目指すべきボールではありません。

ジャイロボールとバックスピンストレートの握り方の違い

ジャイロボールの投げ方のポイントとしては、ボールを握る際に親指を仕舞い込むという点です。その理由は、ジャイロボールは4シームストレートのように指の付け根の関節を使って投げるのではなく、指の第1〜2関節の力を使って投げるためです。この時親指を伸ばして4シームストレートのようにボールにかけてしまうと、指の第1〜2関節も伸びやすくなり、ジャイロボールがただのすっぽ抜けになりやすいため要注意です。

ジャイロボールの握り方

ジャイロボールの握り方 ジャイロボールの握り方

上の写真がジャイロボールの握り方です。人差し指と中指はぴったりとくっつけて、親指はできるだけボールに触れないように折り曲げておきます。親指をこのように折り曲げることにより、人差し指と中指の第1〜2関節を使いやすくしていきます。ちなみに松坂大輔投手はジャイロボールは投げてはいませんが、このように親指を折り曲げてボールを握っているため、カットボールやスライダーが抜けるとジャイロ回転になりやすいんです。

バックスピンストレートは人差し指と中指の付け根の関節の力を使ってボールが抜けないようにし、回転を与えていきます。一方ジャイロボールは指の第1〜2関節の力を使ってボールにジャイロ回転を与えていきます。

バックスピンストレートの握り方

バックスピンストレートの握り方 バックスピンストレートの握り方

上の写真がバックスピンストレートの握り方になるわけですが、ジャイロボールの握り方と比べると、親指の形がまったく違っていることがわかると思います。人差し指と中指のどの関節の力を使いたいかにより、このように親指の使い方を変えていきます。

ジャイロボールの投げ方

ジャイロボールを投げるためには、外旋型のトップポジションを作る必要があります。内旋型のトップポジションではジャイロボールを上手く投げることはできませんので、槍投げができるようなフォームでボールを投げるということが重要です。

外旋型トップポジション 外旋型トップポジション

外旋型のトップポジションを作ったら、空手チョップをするイメージで小指からボールを加速させていき、手のひらがキャッチャーミットと正対する前に、下の写真のように人差し指と中指の指先を垂直に並べてボールにジャイロ回転を与えていきます。

ジャイロボールの投げ方

この時内旋型のトップポジションになっていると空手チョップのように小指からボールを加速させていくことができないため、縦に並べた指先でジャイロ回転を与えることはできなくなります。

下の写真はボールにバックスピンをかける際の指先の動かし方です。ジャイロボールの場合は指先を垂直に使うのに対し、バックスピンをかける際は指先を横に並べて、手のひらをキャッチャーミットに正対させてリリースしていきます。

バックスピンストレートの投げ方

ジャイロボールを投げたい時は、指先をボールに立てるイメージでリリースするとGood!

実際にボールの表面に指先を立てるわけではないのですが、立ててしまうイメージで少し大袈裟に、ピックでギターの弦を上から下に向かってストロークする(弾く)ような指先の動きでリリースを迎えると、ジャイロ回転を与えやすくなります。ポイントは上述した通り、指先を縦に並べて使うという点です。指先を横に並べるとジャイロ回転ではなく、バックスピンになります。

指先を少し立てるイメージで、さらに親指を完全に折り曲げるこの握り方だと、豪速球を投げる強さで腕を振るとボールが手からこぼれ落ちやすくなります。そしてこぼれ落ちるのを防ぐために強く握ってしまうと肘がロックされやすくなり、野球肘になってしまう可能性が高まるため注意が必要です。

そして、手のひらはキャッチャーミットではなく、まだ自分の顔の方を向いている時点でリリースしていきます。このタイミングでリリースを迎えられないと、やはりジャイロ回転を与えていくことはできなくなります。また、手のひらが横を向いている時点でリリースする必要があるため、遠心力が上にかかりやすいオーバーハンドスローやスリークォーターではジャイロボールはすっぽ抜けやすくなります。

逆にサイドハンドスローやアンダーハンドスローの場合は遠心力は横方向にしかかかりません。しかしその横方向への遠心力は、手のひらが横を向いている形によって抑えることができるので、サイドハンドやアンダーハンドスローの場合、ジャイロボールを投げてもほとんどすっぽ抜けることはありません。もちろん重心を上げながら投げてしまっているなど、基本的な動作ができていない場合は別ですが。

ジャイロボールのまとめ

高速のジャイロボールを投げることは難しいということはすでに上述しました。投げられたとしてもせいぜい130km/h程度ではないでしょうか。しかし130km/hという球速があれば、バッターは「ボールはそれほど落下してくることはない」と予測してバットを振り始めます。

ジャイロボールの特徴は、落下しながら飛んでくるはずの遅いボールが、落下せずにキャッチャーミットに収まるという点です。落下してくるはずのボールが落下しないからこそ、バッターはボールの下を空振りしてくれるようになります。

しかし130km/h程度の、18.44mという距離においてほとんど落下しないボールがジャイロ回転によってさらに落下せずに飛んできたところで、ボールはほとんどバッターの予測した高さに来ますので、バッターはそのジャイロボールを普通に打つことができます。

ですのでジャイロボールを有効活用するためには、本来であれば山なりを描いて落下しながら飛んでくるはずの遅いボールにジャイロ回転をかけて、空気抵抗を限りなく小さくすることにより、スローボールをほとんど落下させずにキャッチャーミットに収めるというテクニックが必要になってきます。

さらには、渡辺俊介投手のように地面すれすれの高さからボールをリリースして、打者の顔の高さを狙ってジャイロボールを投げることができると、ほとんどのバッターはボール2〜3個分ボールより下を空振りするようになります。このようなテクニックは草野球レベルでも十分にマスターすることができますので、100km/h前後のサイドハンドスローやアンダーハンドスローの草野球選手であれば、ジャイロボールを有効活用できると思います。

ジャイロボーラーを目指すなら、本格派ではなく技巧派を目指そう!

ということで、ジャイロボールは本格派の投手には合わないということと、僕が高速ジャイロボールに対しては肯定的なスタンスではない、ということを十分ご理解いただけたと思います。

ジャイロボールは本格派ではなく、球速が遅い技巧派のピッチャーの武器になる球種です。ゴム製であまり滑らない軟式球は、硬式球以上にジャイロボールを投げやすいと思います。ですのでサイドハンドスローやアンダーハンドスローの草野球選手には、ジャイロボールはオススメです!

あの超有名なジャイロボールは実は嘘だった?!

今回の投手育成コラムでは、ジャイロボールに関して徹底解説をしていきたいと思います。ですがその前に、プロフェッショナルコーチである僕自身のジャイロボールに対するスタンスをお伝えしておきたいと思います。僕は個人的にはジャイロボールに対しては肯定的なスタンスではありません。

だからといって「ジャイロボールの存在なんて嘘だ!」とは言いません。ジャイロボールは確かに存在しており、僕自信ジャイロ回転のボールを投げることができます。ではなぜ僕はジャイロボールに対し肯定的なスタンスを取っていないのか?!

その理由は、ジャイロ回転の豪速球を投げることができないからです。一時期松坂大輔投手がジャイロボールを投げていると噂されていましたが、あれはジャイロボールではなく、カットボールのすっぽ抜けがジャイロボールっぽくなっていただけです。

ちなみに松坂大輔投手のジャイロボールに関しては、アメリカのCNNという世界的に有名な報道番組でも特集されたことがあります。しかし番組内で紹介された試合映像の中で松坂投手が投げていたのはジャイロボールではありませんでした。松坂投手自身、ジャイロボールを意図して投げてはいないようです。ご本人的にもやはり、カットボールが抜けてジャイロ回転っぽくなっているという認識のようです。

また、茂野吾郎投手がジャイロ回転の豪速球を武器としていましたが、あれは作者の満田拓也先生も嘘だったと認めている通り、あくまでもファンタジーです。しかも茂野投手のジャイロ回転の方向は逆回りで、野球の物理学的にはありえないボールでした。

超一流のプロ野球選手でも投げられない高速ジャイロボール

僕は高速のジャイロボールに対しては目指すべきボールではないと考えています。しかしチェンジアップのような低速のボールであればジャイロ回転は有効だと考えています。ですのでジャイロボーラーを目指すのであれば、球速の遅いジャイロボールを投げる練習をすべきだと思います。

140km/h、150km/hを超えるようなジャイロボールは夢というか、まさに幻だと僕は考えています。詳しくは後述しますが、ジャイロボールの握り方で豪速球を投げることはできません。プロ野球にも数名、試合でジャイロボールを投げていたピッチャーがいましたが、彼らも球速が遅いジャイロボールを駆使していました。江夏豊投手もジャイロボーラーだったという噂もありますが、真相は謎です。

日本のプロ野球、そしてメジャーリーグには超一流レベルのピッチャーたちが大勢います。しかし誰一人「俺は150km/hのジャイロボールを武器にしている!」とは言っていません。これが答えではないでしょうか。超一流レベルのプロ選手でさえも、高速ジャイロボールは投げられないのです。

スローボールこそがジャイロボールの真骨頂!

ジャイロボールの回転

上の連続写真が右投手が投げたジャイロ回転のボールを再現したものです。空気抵抗の話に関しては『マグナス力を高めればホップする重いストレートを投げられる!』を読んでいただくとして、ジャイロ回転のボールにかかる空気抵抗は非常に小さくなります。そのため18.44m程度の距離であれば、100km/h程度のジャイロボールであってもほとんど失速も落下もせずにキャッチャーミットに収まっていきます。

100km/h程度のスローボールが飛んでくるのを打者が目にした際、打者はそのボールは落下しながら飛んでくると予測します。リリースされた高さから見ていくと、だいたい70〜80cmは落下してきます。しかしフォークボールのように突然落下するわけではなく、やや山なりの軌道で飛んできます。

100km/hの普通のバックスピンストレートの場合は70〜80cm落下してくるわけですが、これが100km/hのジャイロボールの場合、60〜70cm程度の落下になります。単純に考えるとその差はだいたい10cmとなり、約7.2cmのボール1個分以上の差になります。

つまり100km/h程度のジャイロボールを投げると、打者が予測するより10cm程度落下幅が小さくなるため、100km/hというスローボールでも打者はボールの下を空振りするようになる、というわけです。

ジャイロボールはアンダーハンドスローやサイドハンドスローの投手にオススメ!

松坂大輔投手はスリークォーター、茂野吾郎投手はオーバーハンドスローなわけですが、スリークォーターやオーバーハンドスローでジャイロボールを投げることは困難です。もちろん頑張れば投げることはできると思いますが、腕を上げて投げてしまうとアクセラレーションフェイズ(トップポジション〜ボールリリースにかけての加速期)にかかる遠心力によって、スライダーやカーブ以上にすっぽ抜けやすくなります。

しかしサイドハンドやアンダーハンドスローの場合、上方向にかかる遠心力が小さくなるため、後述するジャイロボールの握り方でもそれほどすっぽ抜ける心配はありません。

ジャイロボールを試合で有効活用するためには、ローサイドハンドスローやアンダーハンドスローで投げるのがベストです。例えば千葉ロッテマリーンズで活躍された渡辺俊介投手のように、地面すれすれの高さでリリースして、打者の顔の高さのキャッチャーミットにジャイロボールを収めていくと、打者はほとんど打てないと思います。

打者が、ピッチャーが投げたボールがどこに到達するのかを予測するのは、まだボールがホームプレートの10m以上手前にある時点です。その時点では地面すれすれからリリースされたボールは、まだ打者の膝や太腿程度の高さまでしか登ってきていません。打者はそれを見てバットを振り始めますので、そのボールがホームプレート上に来た時に胸や顔の高さまで登ってくると、バットはほとんど確実にボールの下を空振りするようになります。

ジャイロボールの場合、100km/h未満のストレートであって18.44m程度の距離であれば、ホームプレート上に来るまで地面すれすれのリリースポイントから登り続けてくれます。しかし普通のバックスピンストレートや、サイドスピン要素が入ったストレートの場合、一般的なボールの回転数ではマグナス力も弱くなり、渡辺俊介投手のように地面すれすれの高さから打者の顔の高さに投げようとしても、ホームプレートに到達する前に落下し始めてしまい、ただの遅い山なりのボールになり、簡単に打たれてしまいます。

僕は、茂野吾郎投手のようにバットをへし折るようなジャイロボールに対しては肯定的なスタンスは取っていません。しかし渡辺俊介投手のように、高低差を上手く利用した遅いジャイロボールに関しては大きな武器になり得ると考えています。

ジャイロボールを投げたいと強く考えている選手が多いのは、2001年に発売された『魔球の正体』という手塚一志コーチと姫野龍太郎教授の共著を手に取ったことがある草野球ではないでしょうか。ちなみに姫野教授はフェアレディZなどの人気車種の空力解析をされた先生です。

あとはリアルタイムで茂野吾郎投手の活躍を見てきた世代でしょうか。しかし上述したように茂野投手のジャイロボールは、新城童夢君のスノーミラージュボール同様のファンタジーです。ちびっ子が夢見て投げることを目指すことには大賛成ですが、中高生や大人が現実的に目指すべきボールではありません。

ジャイロボールとバックスピンストレートの握り方の違い

ジャイロボールの投げ方のポイントとしては、ボールを握る際に親指を仕舞い込むという点です。その理由は、ジャイロボールは4シームストレートのように指の付け根の関節を使って投げるのではなく、指の第1〜2関節の力を使って投げるためです。この時親指を伸ばして4シームストレートのようにボールにかけてしまうと、指の第1〜2関節も伸びやすくなり、ジャイロボールがただのすっぽ抜けになりやすいため要注意です。

ジャイロボールの握り方

ジャイロボールの握り方 ジャイロボールの握り方

上の写真がジャイロボールの握り方です。人差し指と中指はぴったりとくっつけて、親指はできるだけボールに触れないように折り曲げておきます。親指をこのように折り曲げることにより、人差し指と中指の第1〜2関節を使いやすくしていきます。ちなみに松坂大輔投手はジャイロボールは投げてはいませんが、このように親指を折り曲げてボールを握っているため、カットボールやスライダーが抜けるとジャイロ回転になりやすいんです。

バックスピンストレートは人差し指と中指の付け根の関節の力を使ってボールが抜けないようにし、回転を与えていきます。一方ジャイロボールは指の第1〜2関節の力を使ってボールにジャイロ回転を与えていきます。

バックスピンストレートの握り方

バックスピンストレートの握り方 バックスピンストレートの握り方

上の写真がバックスピンストレートの握り方になるわけですが、ジャイロボールの握り方と比べると、親指の形がまったく違っていることがわかると思います。人差し指と中指のどの関節の力を使いたいかにより、このように親指の使い方を変えていきます。

ジャイロボールの投げ方

ジャイロボールを投げるためには、外旋型のトップポジションを作る必要があります。内旋型のトップポジションではジャイロボールを上手く投げることはできませんので、槍投げができるようなフォームでボールを投げるということが重要です。

外旋型トップポジション 外旋型トップポジション

外旋型のトップポジションを作ったら、空手チョップをするイメージで小指からボールを加速させていき、手のひらがキャッチャーミットと正対する前に、下の写真のように人差し指と中指の指先を垂直に並べてボールにジャイロ回転を与えていきます。

ジャイロボールの投げ方

この時内旋型のトップポジションになっていると空手チョップのように小指からボールを加速させていくことができないため、縦に並べた指先でジャイロ回転を与えることはできなくなります。

下の写真はボールにバックスピンをかける際の指先の動かし方です。ジャイロボールの場合は指先を垂直に使うのに対し、バックスピンをかける際は指先を横に並べて、手のひらをキャッチャーミットに正対させてリリースしていきます。

バックスピンストレートの投げ方

ジャイロボールを投げたい時は、指先をボールに立てるイメージでリリースするとGood!

実際にボールの表面に指先を立てるわけではないのですが、立ててしまうイメージで少し大袈裟に、ピックでギターの弦を上から下に向かってストロークする(弾く)ような指先の動きでリリースを迎えると、ジャイロ回転を与えやすくなります。ポイントは上述した通り、指先を縦に並べて使うという点です。指先を横に並べるとジャイロ回転ではなく、バックスピンになります。

指先を少し立てるイメージで、さらに親指を完全に折り曲げるこの握り方だと、豪速球を投げる強さで腕を振るとボールが手からこぼれ落ちやすくなります。そしてこぼれ落ちるのを防ぐために強く握ってしまうと肘がロックされやすくなり、野球肘になってしまう可能性が高まるため注意が必要です。

そして、手のひらはキャッチャーミットではなく、まだ自分の顔の方を向いている時点でリリースしていきます。このタイミングでリリースを迎えられないと、やはりジャイロ回転を与えていくことはできなくなります。また、手のひらが横を向いている時点でリリースする必要があるため、遠心力が上にかかりやすいオーバーハンドスローやスリークォーターではジャイロボールはすっぽ抜けやすくなります。

逆にサイドハンドスローやアンダーハンドスローの場合は遠心力は横方向にしかかかりません。しかしその横方向への遠心力は、手のひらが横を向いている形によって抑えることができるので、サイドハンドやアンダーハンドスローの場合、ジャイロボールを投げてもほとんどすっぽ抜けることはありません。もちろん重心を上げながら投げてしまっているなど、基本的な動作ができていない場合は別ですが。

ジャイロボールのまとめ

高速のジャイロボールを投げることは難しいということはすでに上述しました。投げられたとしてもせいぜい130km/h程度ではないでしょうか。しかし130km/hという球速があれば、バッターは「ボールはそれほど落下してくることはない」と予測してバットを振り始めます。

ジャイロボールの特徴は、落下しながら飛んでくるはずの遅いボールが、落下せずにキャッチャーミットに収まるという点です。落下してくるはずのボールが落下しないからこそ、バッターはボールの下を空振りしてくれるようになります。

しかし130km/h程度の、18.44mという距離においてほとんど落下しないボールがジャイロ回転によってさらに落下せずに飛んできたところで、ボールはほとんどバッターの予測した高さに来ますので、バッターはそのジャイロボールを普通に打つことができます。

ですのでジャイロボールを有効活用するためには、本来であれば山なりを描いて落下しながら飛んでくるはずの遅いボールにジャイロ回転をかけて、空気抵抗を限りなく小さくすることにより、スローボールをほとんど落下させずにキャッチャーミットに収めるというテクニックが必要になってきます。

さらには、渡辺俊介投手のように地面すれすれの高さからボールをリリースして、打者の顔の高さを狙ってジャイロボールを投げることができると、ほとんどのバッターはボール2〜3個分ボールより下を空振りするようになります。このようなテクニックは草野球レベルでも十分にマスターすることができますので、100km/h前後のサイドハンドスローやアンダーハンドスローの草野球選手であれば、ジャイロボールを有効活用できると思います。

ジャイロボーラーを目指すなら、本格派ではなく技巧派を目指そう!

ということで、ジャイロボールは本格派の投手には合わないということと、僕が高速ジャイロボールに対しては肯定的なスタンスではない、ということを十分ご理解いただけたと思います。

ジャイロボールは本格派ではなく、球速が遅い技巧派のピッチャーの武器になる球種です。ゴム製であまり滑らない軟式球は、硬式球以上にジャイロボールを投げやすいと思います。ですのでサイドハンドスローやアンダーハンドスローの草野球選手には、ジャイロボールはオススメです!